星を超えた想いを12【オリオンの刻印】 (ページ28)

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訂正ページ28

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「ヒロト、口は悪いけどこう見えて

根はいいやつなんだ。ただ……日暮さんの

好みじゃないのが難点なだけで……」

「ごめん基山くん、言ってる意味分かんない」

先程のヒロトの失態を取り戻そうと

言わんばかりに、熱い熱弁を繰り広げる

タツヤに口元を引き攣らせるA。

「どうかな？」

「どうかな…………じゃないよね

私こいつと添い遂げるとか死んでも嫌」

隣に座るヒロトを指させば「あぁ？」と

片眉を上げてガンを飛ばされる。

さっきからこのやり取りの繰り返しだ。

「俺だってお前みたいな色気もねえ貧相な

女と添い遂げるなんざ、ごめんだっつーの」

こっちから願い下げだぜ、と頭の後ろで

手を組み、椅子を前後に揺らしながらヒロトが呟くとぴしり、と何かが固まった音が聞こえた。

「あんた喧嘩売ってんの？」
「事実だろうが」

ふと音のした方に何気なく視線を移すと

そこには完全に石化したタツヤの姿。

顔の前で何度も手を振っても彼は反応を示さない。

「だいたい女子の胸触るとか最低」
「女子じゃねーだろ」
「女子よ！！」

悪びれた態度も見せずに肩を馴れ馴れしく

組んでくるヒロトの手を払い除けながら

痛いほどの視線を送る。

「そうです、先輩に失礼ですよヒロトさん」

突然耳元でヒロトとは違うチェストボイスが

聞こえて肩をビクつかせるA。

慌てて振り返ると、そこには食べ終わった

食器を乗せたトレーを持った"一星充"の姿。

「一星くん……」

「一星……てめぇ何の用だよ」

片眉を上げて不機嫌そうな声と顰めっ面で

一星を睨みつけるヒロトと気まづそうに

目を逸らすA。

「ヒロトさんがあまりにも失礼なことを

先輩に言うもんですから訂正しに来たんです」

虫をも殺さぬような可愛らしい笑顔を向ける一星はこの後、とんでもない爆弾を投下した。

「日暮さん、こう見えて"Ｃ"なんですから」

ぴしり、と食堂の空気が一気に凍りついた。

訂正しました、先輩！と外あたりのいい表情で

微笑む一星に、Aは目を点にさせたまま

サタン・ゴールのように首を右へと傾ける。

「この間は貧相とか言ってすみませんでした！」

「え、あ……いや、あの………は？」

放心状態のAに向かって

「昨日の先輩、可愛かったです」と

トドメの一言を突き刺すと頭を深々と下げた

一星は食堂を後にしたのだった……。

「どーするよ、この空気」

ヒロトのその一言はヤケに大きく響き渡った。