星を超えた想いを12【オリオンの刻印】 (ページ27)

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平然ページ27

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あのあと、吹雪は急にどこかよそよそしい

態度を取り出した。理由を聞いても

「誰にも言ったりしないから」と

意味のわからない返答をされた。

一体なんのことを言っているのだろう、と不思議に思いつつも食堂にたどり着いたAは適当な席に着くと喉を潤すために牛乳パックに手をかけた。

「汗、ベトベト………」

肌寒い季節だと言うのに、身体中が

汗ばんでいて気持ちが悪かった。

ジャージを脱ぎたくても、昨日どこかの誰かが

付けた痕があるせいで半袖になることすら

できないのだから本当に困る。

「本当に大丈夫か？日暮」
「うん、平気……」

力なく笑ってみせると氷浦もつられて

困ったふうに笑い返してくれた。

じゅー、じゅー、と底をついた

牛乳パックのストローからそんな音が零れる。

喉乾いてたんだ、と心の中でAが

呟いていると急に背中にずっしりと重みを感じた。

「相変わらずぶっさいくな面してんなお前」

「暑苦しいから引っ付かないでヒロトくん」

ただでさえ暑いのに引っ付くな、と頭の上に

顎を乗せて、前のめりに体重をかけてくる

ヒロトに蛙の潰れそうな声を出していると

「ヒロト！」とタツヤの宥める声が聞こえた。

「基山くん、このゴッドストライカー何とかして」

いつもなら殴り飛ばしているが、生憎

そんな力今は残っていない。

Aが机に突っ伏しながらタツヤに助けを求めると「日暮さん…………」と名前を呼ばれて、がちゃんとトレーを机に置く音が聞こえる。

「責任はちゃんと取らせるから安心してね

日暮さんならきっと父さ……ううん

学園長も納得してくれると思うから」

真剣な顔で何を言うんだろう、この人は。

そんなことどうでもいいからヒロトを

引き離してほしいのに、とAは

机に突っ伏す自分に目線をわざわざ

合わせてくるタツヤを冷めた目で見つめた。

「胸触ったぐらいで一々大袈裟なんだよお前」

ヒロトのそんな声がAの頭の上から降りかかる。

「あんたにはもっとデリカシーって言葉を

ちゃんと学んでほし……ひっ!?」

下から急に触られた膨らみに、変な声を

上げてしまうと、向かい側(タツヤ)から

からん、とスプーンが落ちる音が聞こえた。

「何……やってんの、あんた」

「あ？見りゃわかんだろ」

声を震わせるAに平然とした顔で

答えながら「Bー……」と頭の上で呟く声が

聞こえたがそれをかき消すかのように

数秒後、鈍い音が食堂に響いた……。