星を超えた想いを9【オリオンの刻印】 (ページ49)

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契ページ49

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鬼道は、一星を疑っていた...

監督に一星の経歴を聞こうと試みてはみたが、上手くはぐらかされて教えてもらえなかった。

自分の考えすぎだったのだろうか、と

そう思っていた矢先に起きた出来事に

鬼道の疑心は確信へと変わる。

「一星くんが謝ることなんかないよ。

それより、怪我がなくて本当によかった.....

足とか大丈夫だった？」

日暮がそう問えば、一星は無言で頷いた。

急に抱きしめられ、最初は戸惑っていた

Aも、今では一星の背中を優しく叩いている。

「でも、日暮さんが怪我を.....。」

__騙されるな、日暮__

「私は大丈夫、大した怪我じゃないから。」

肩を揺らし、泣いた"ふり"をして

日暮の肩越しから自分(鬼道)を睨み、舌を出して挑発してくる一星に、腸が煮えくり返る。

彼女の角度では、一星の顔が見えないのは当然だ。

しかし、鬼道には分かっていた。

一星は"泣いている"から震えているんじゃない。

あいつは、"笑いを堪える"ように震えているのだ。

「何を考えている一星.....。」

一星にだけ聞こえるように、そう囁けば

「........."鬼道の野郎".........」

いつもより何トーンも低い一星の声が聞こえた.....。

あれから、円堂たちと別れた鬼道は

キャンプ場の中にあるトレーニングルーム前で、壁にもたれかかりながら、ある人物を待っていた。

「鬼道さん.....」

自動扉が開き、トレーニングルームの

中からでてきたのは西蔭政也だった。

彼は、首からかけたタオルで顔の汗を拭くと

待ち伏せしていたであろう鬼道を見つめた。

「西蔭、お前に頼みたいことがある。」

ゴーグル越しに光ったその瞳に、西蔭は只事ではないと思い汗を拭いていた手を止めた。

「一星と日暮から目を離すな。」

「日暮も、ですか？」

意外な人物の名前が出てきて、彼には珍しい

きょとんとした表情になる西蔭。

「嫌な予感がするんだ。

一星と、日暮を近づけてはいけない何か.....。」

それが何を意味するのか、分からなかった。

ただ.....。

「日暮に.....

あいつに何かあってからでは遅いんだ。」

それは、親友との約束。

___「鬼道.....こんなことを言う柄じゃないが

.....Aのことを、頼まれてくれないか。」__

今朝、入院先で言われた豪炎寺の言葉だった。

鬼道は拳を強く握りしめる。

そんな鬼道の姿に、西蔭は「わかりました」と言って首を縦に振ることしか出来なかった.....