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一星から教わったとおりに、Aは
軸足をぶらさずに勢いよく膝下から振り抜くようにボールの中心を意識してシュートを放つ。
威力をそのままに、ボールは反れることなく
円堂の両手におさめられる。
「いいシュート打てるじゃないか、A！」
「やった.....」
ボールは止められてしまったものの
自分の蹴りたい方向にボールが真っ直ぐ
飛んだことが嬉しかった。
気持ちのいいシュートを放つことができて
突き上げるような喜びが胸を貫く。
「ナイスシュートです、日暮さん！」
両手を頭上より少し高く上げる一星。
「ありがとう！」
そのサインが分かったAもまた
同じく両手を上げて少しだけ背伸びをする。
ぱんっ、と頭上でいい音が鳴り響き、
一星とハイタッチを交わしたAは
嬉しさから頬を紅潮させて、ニヤける顔をおさえながら、水分補給をしにベンチへと歩いていく。
「最後、絶対に決めます！」
「ありったけの力をぶつけてみろ！」
「頑張って、一星くん！」
ベンチに腰掛けて、置いていたボトルを手に取るとAは手を口元にあてて一星に声援を送る。
体内に水分を送り、首にかけていた
タオルで汗を拭いていると
彼女の隣に見慣れた赤いマントが通りがかった。
「鬼道さんも練習を？」
鬼道を見上げて、不思議そうに問いかけると
「いや.....。」とAを一瞥すると、鬼道は再びある人物に目を移した。
「(やはり俺の考えすぎだったのか.....？)」
腕を組み、眉間にシワをよせる鬼道。
一星が、最後のシュートを決めようとした
___その時___
ボールの先端から針のような尖ったものが、一瞬輝いたのを鬼道は見逃さなかった。
それと同時にふっ、と不敵に笑う一星。
「よけろ円堂！」
咄嗟にそう叫んだ鬼道にAは肩をビクつかせて、鬼道を見上げた。
円堂もまた、叫んだ鬼道に首を傾ける。
一星の放ったボールは、円堂の横スレスレで
通過すると、ゴールネットを貫通し
壁へと突き刺さってしまった.....。
「え、円堂さん！大丈夫ですか!?」
目の前で起きた光景にはっ、と息を飲み、Aが慌てて円堂の元へと駆け走る。
「な、なんだ...」
「大丈夫か？円堂！」
何が起きたのか分からない円堂に駆け寄る鬼道。
ホッと胸を撫で下ろしたAは、突き刺さったボールの前まで歩くと、それを壁から引き剥がす。
「いっ.....」
その時、鈍い痛みが彼女の指先を襲った.....。
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年10月12日 15時
