星を超えた想いを9【オリオンの刻印】 (ページ44)

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親睦ページ44

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風丸は「仕方ないな」と腰に手を当て

小さくため息をつくと、口を開いた。

「日暮、練習はまた今度付き合ってやるから、今日は一星についてやれ。」

今まで萎んだ表情だった一星の顔が

ぱああっと花が咲いたような笑顔に変わった。

「すみません、私からお願いしたのに。」

一方のAは、申し訳なさそうに謝る。

「気にするな。それより特訓、頑張れよ」

肩に手を置いてそう言ってやると、Aは

ふっと頬を綻ばせて「はい」と返事をした。

その後ろ姿に向かって二人で礼を言うと、風丸は背中を向けたまま、手を振ってくれた。

「僕たちも行きましょう！」

気を取り直して、と言わんばかりに笑顔を

向けてきた一星にAは無言で俯いた。

不思議に思って彼女と同じ視線を辿ると

一星は、そこではっとする。

「す、すみません！僕、嬉しくてつい.....」

両手を包み込むように握っていたAの手を

一星は慌てて離そうとする。

が、Aはその手を離そうとしなかった。

表情は至って真剣で、温もりでも確かめるように一星の手にそっと自分の手を重ねる。

"青く光った手首"を見逃さなかった一星は

大きな瞳をすっ、と萎ませると

何かを見透かすような、嫌な笑いを浮かべた。

「あれ.....私、何して.....」

その時、突然Aが我に返った。

「ご、ごめん急に！」

自分でも、何をしていたのか

わからなかったのか、手を重ね合わせていたことに気がついた途端、顔を真っ赤に染め上げる。

慌ててAが、手を引っ込めようとするも

「.....日暮さんの手.....温かいですね」

一星はそう言って、まるでAの柔らかい肌の感触を楽しむかのように、指を深く絡め合わせた。

「は.....？あ、あの......一星くん」

思考が追いつかず、戸惑うAに

気分を良くした一星は、彼女の手を引いて、先を歩く円堂に「円堂さん！」と声をかけて呼び止めた。

「おう、一星.....とA？

お前ら手なんか繋いでどうしたんだ？」

繋がれていた(主に一星が固く絡めあわせている)手をぽけ～っと見つめる円堂。

「いや、これは.....その」

置き場のない目を泳がせるA。

「親睦を深めていたんです！」

笑顔で告げた一星に、円堂は「そうか」と疑うことなく納得する。

「(ああ、そうだ。

円堂さん、この手の話には疎い人だった...。)」

Aは口元を引き攣らせながら、改めて円堂の鈍さを実感したのだった.....。