星を超えた想いを9【オリオンの刻印】 (ページ5)

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持論ページ5

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間もなく試合が始まろうとしていた頃。イナズマジャパンベンチでは久遠コーチからタブレットを借りたAが韓国の選手のデータ情報に目を通していた。

「韓国のソク・ミンウは、キャプテンだけでなくチームの司令塔も担ってるみたいで、その観察眼を活かして国内での試合も勝ち上がってきたみたいです」

画面をスライドしていきながら、ソクのデータグラフを昨年度のものと比較しているAの隣で「ほわあ」坂野上の声にもならない声が聞こえてくる。

「なんかすげえ名前だな！」

「そこですか.....」

的外れすぎる安定の剛陣の感想に、Aは息をつくような呆れた声を出して横目で睨む。

「日暮さん、レッドバイソンのエースストライカーはどんな方なんですか？」

興味を持った坂野上が、タブレットを横から覗きながら質問する。

「えっと.....ペク・シウくんは攻撃的且つ突破力が持ち味のエースストライカー。突進してくる姿は闘牛そのもので韓国が背負うレッドバイソンの名は、彼をイメージしてつけられたものみたい」

スラスラと、まるで解説者のように持論を並べてわかりやすく説明をしたAに、両隣にいた一星と坂野上(一年生組)から「おおお」と声が上がった。

「気になるなら見てみる？」

「いいんですか!?」

わああ、と目を輝かせて選手情報を見ていく坂野上が可愛くて、Aはクスッと頬を緩ませる。

「お前、よくそんな面倒なこと調べるな」

背もたれにもたれ掛かり、頭を後ろに倒して一つ隣に座っていたヒロトがAに言い放つ。

「何もフィールドに立つだけが試合じゃないからね。こうやって試合に出てない間でも、ベンチからみんなを支えたいの。いわゆる後方支援ってやつ？」

彼女の強い意志を垣間見てもなお、ヒロトは興味無さげな様子で「ほー」と返事をした。後方支援とは無縁と言ってもよい彼にとって、Aの言葉はあまり心に響かないらしい。

そして、ホイッスルが鳴り響いた。

アジアのライバルが激突するチームで開始早々、ペク・シウからボールを奪った明日人は豪炎寺、そして灰崎へとパスを繰り出した。前線のホットラインが繋がり、日本が優勢の状態で試合が運ばれる。

「ばーか！」

韓国選手たちを抜き去り、暴言を吐く灰崎の前に韓国キャプテンのソク・ミンウが現れる。彼のトリッキーな技で灰崎は出し抜かれてボールを奪われてしまう。

ソク、イ・ドンヒョク、そして最前線のエースストライカー、ペクへとボールが繋がれた。