一番星 ページ37
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談話室での話も終わり、選手たちは
それぞれの時間を部屋で過ごしていた。
その中の一人であるAもまた、ベッドに横になりながらスマホを片手に ある人物と会話をしていた。
「野坂くん」
ディスプレイに映し出されたその名前に
ふっ、と無意識にAの頬が緩んだ。
野坂二回戦進出おめでとう
Aありがとう野坂くん
野坂フィールドに煌めく一番星
急にそんな文面が送られ、小首を傾げるA。
A何それ
野坂君のキャッチフレーズだよ
ネットニュース見てないの？と言われて
慌ててネット記事を確認すると
「期待の新人選手現る フィールドに煌めく一番星」と書かれている文面が目に入った。
「全然気づかなかった....」
ヨネから見せてもらった時は
「期待の新人選手現る」という文面しか
見ていなかったため、自分のキャッチフレーズに目を当てていなかったのだ。
A今見た.....恥ずかしい
野坂僕はぴったりだと思うよ
一体どの辺がピッタリだと言うのだろうか。
むしろプレッシャーをかけられている
気しかしないAは「う〜ん」と
唸りながら返信に困っていた。
すると再び、野坂からメッセージが送られた。
野坂ところで最近、変わったことはない?
A変わったこと?
いきなりそんなことを聞かれた、Aは
枕に両肘をつき体勢を変えると
「特には...」と返信した。
野坂何もないならいいんだ。
野坂ただ...何かあったら相談してほしい
野坂にしては珍しく長文で、Aは
「選手としてのことを心配してくれてるのかな」と
思い込み、文字を打っていく。
A何かあったら相談するね
野坂約束だよ
ふわあ、と眠たそうに欠伸をしたA。
時刻は22時を過ぎていた。
Aごめん野坂くん。明日も早いから、そろそろ寝るね
野坂うん、お疲れ様。おやすみ
野坂からのメッセージを確認して
スマホの画面を閉じたAはもう一度欠伸をすると、目を擦って深い眠りについた。
そんな彼女の部屋の前で、とある少年が
不敵な笑みを浮かべて立っていたことなど
Aは知る由もなかった....
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年10月12日 15時
