星を超えた想いを9【オリオンの刻印】 (ページ35)

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差し入れページ35

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あれから不動と別れて、Aが目的の

場所である談話室へと足を運ぶと

そこではヒロトと灰崎が談話室のど真ん中で取っ組み合いの喧嘩をしていた。

喧嘩と言っても、直接手をあげている

わけではなく、ただの口喧嘩なので

選手たちもただ見守っているだけだった。

「また喧嘩してるの？あの二人」

ため息混じりにそう呟けば

談話室のソファーに腰掛けていた吹雪が

「帰ってきてからずっとあの調子さ」と

困ったふうに話した。

「おお、日暮ちょうどいいところに！」

剛陣がこちらに向かって手を振ってくる。

一体なんだろうと思いながらトレーを片手に

彼の傍まで向かうと「見てくれよこれ！」と

肩を抱かれてタブレットを見させられた。

「明日人の写真がどうかしたんですか？」

明日人がペクからのスライディングを

避けている絶妙なタイミングで撮影された

画像を見せられ、Aはこれがどうかしたのだろうか、と不思議そうに小首を傾げる。

「ここだよここ！俺が映ってるだろ？」

「え？」

とんとん、と人差し指で画像の左上を指す剛陣に、Aは目を凝らして画像の中の剛陣を探した。

「.....小っさ」

確かにいた...........ベンチに。

しかもかなり小さく端っこに。

「保存もんだろ？な？な？」と舞い上がる

剛陣に、仲間たちは呆れた目を向けていた。

「あとで俺のスマホに送っといてくれよ！」

「えー….....。」

肩を組まれ、心底嫌そうな顔をするA。

「きっと他のやつらも欲しいだろうぜ！」

「坂野上くん、欲しい.....？」

Aが死んだ魚のような目で坂野上に問いかけると、彼は「えっ"」と口元を引き攣らせていた。

「えっ.......いやあ、俺は.....いいかな、なんて」

あは、あははは.....と誤魔化して笑う坂野上。

そりゃそういう反応になるわな、と周りの者達も何とも言えない顔でドン引きしていた。

「日暮、さっきから気になっていたんだが

手に持ってるそれはなんだ？」

西蔭の隣に立っていた風丸が不思議そうに

問いかければ「よくぞ聞いてくれました」

と言わんばかりにAは鼻をふふんっ、と

鳴らしてテーブルの上に大量のクッキーが

盛ってあるお皿を置いた。

「イナズマジャパン初勝利を祝して、ヨネさんと一緒にクッキーを焼いてきたんです！」

じゃーんっ！と効果音がつきそうなくらい

両手を広げれば「おおおっ！」という歓喜の声とともに選手たちが机の周りへと集まってくる。