応酬 ページ26
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灰崎もヒロトに張り合うような形で
自らのプレーを活かした個人技で
韓国選手たちを次々と抜いていく。
「こんなもんだぜ！」
Aの目の前スレスレに灰崎の蹴りあげたボールが軌道を変えて上空へと反り上がる。
そのボールの軌道に合わせるように飛び上がり
ボールを受け取ったヒロトは着地をすると
同時に「どうだ！」と灰崎に自分のテクニック力を見せつけ、再び灰崎へとパスを繰り出した。
【ゴール前と言う聖域でもまさに神レベル！
悪魔レベルの個人技の応酬だ！】
自分の凄さをアピールするかのような
パフォーマンスに、会場は大盛り上がりを見せる。
「二人とも力みすぎ！
そんなに飛ばして囲まれてでもしたらどうす.....」
ボールを維持したまま闇雲に韓国陣内へと
切り込んでいく体勢を変えないヒロトと灰崎に
後ろを走っていたAが声をかけるも
「うるせえ、ど素人が！」
「凡人は口出しすんな、すっこんでろ！」
と、言葉をさえぎられた挙句、おまけつきで
罵声まで飛び込んできたではないか。
「日暮？」
走っていたAの足が止まり、氷浦が
不思議そうに顔をのぞき込む。
ゴゴゴゴと効果音がつきそうなくらいの黒いオーラが彼女の周りを漂っていた。
「もしかして、怒って.....」
「怒ってないよ？」
ニコニコと笑顔で笑うA。
しかしその目は笑っていない。
「でも....」
目が語っていた。
__それ以上触れるなと__
【ゴールという聖地を征服するのは神か悪魔か!?】
火花を散らしながらゴールを目前に
ヒロトがシュートを決める直前。
韓国DF"ファン"が吉良ヒロトからボールを
奪うべくタックルを仕掛ける。
ヒロトが苦し紛れに灰崎へと繰り出したパスは、ソクに弾かれ、またもや上空へ。
そこへ明日人が飛び上がり
見事なヘディングで韓国ゴールを貫いた。
「明日人！」
拳をかかげて、初ゴールを決めた明日人の胸元に飛び込むA。
「初得点、初得点！」
子供のようにおおはしゃぎをする彼女に明日人も頬を緩めて喜びを分かち合う。
「(し、視線が痛い....)」
背後からヒロトと灰崎の視線が
痛いほどに明日人に突き刺さる。
ゾソゾッと背中に蛇でも這い上がってくるような感覚に、顔を青ざめさせる。
目の前でニコニコと笑うA。
そして後ろから突き刺さる二人の視線。
板挟みなのは果たしてどちらなのだろうか。
そんな明日人が二人に詰め寄られたのは
また別のお話.....
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年10月12日 15時
