星を超えた想いを9【オリオンの刻印】 (ページ25)

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神と悪魔ページ25

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ベンチからAの活躍を見ていたつくしは

まるで自分のことのように嬉しそうに

飛び跳ね、喜んでいた。

「Aちゃんいきなり大活躍！」

「でも、一瞬速度が落ちていたような.....」

冷静な見解を述べる杏奈に「言われてみれば」と不思議そうに口元に人差し指をあてるつくし。

「きっとパフォーマンスの一環なんですよ！」

人差し指をたて、ひょっこり顔を覗かせた

一星に両の手を合わせたつくしは

「なるほど！」と納得する。

一方で、はぐらかされたような気がした杏奈は

訝しげな表情(かお)で一星を見つめていた.....

ボールを受け取った事で緊張感から解放されたAは額の冷や汗を腕で拭い、ほっと胸を撫で下ろす。

「ぼさっとすんな、ボールを寄越せ！」

そんな彼女に声を荒らげたのは灰崎だった。

Aがボールを蹴りあげる直前

彼女の耳に「おい！」と左サイドを走っていたヒロトの声が流れ込んできた。

「待てブス！俺にボールをよこせ！」

「ええっ!?」

ヒロトと灰崎、両サイドからパスを要求され

どちらに渡すべきなのか戸惑うA。

「A！」

「さっさとこっちにボールを回せ！」

右(灰崎)左(ヒロト)そしてまた右へと

顔の向きを変えて、眉尻を下げる。

バチバチと火花が散る中での板挟み状態。

「私を間に挟んで睨み合うのやめ.....」

『なら早くしろクソ女！』『なら早くしろブス！』

耐えきれないと言わんばかりに声を荒らげるも

途中で言葉を遮られてしまう。何故こんな時に

罵倒の台詞までもが重なるのだろうか。

「もう、どっちでもいいから受け取って！」

ドリブルで上がりながらAがそう叫ぶと

ボールを上空へと蹴りあげる。

【なんと日暮、韓国陣内へと大きくそれてのロングパスだ！これはパスミスか!?】

真っ直ぐに飛ばしたつもりがコントロールが悪かったのかボールは二人から大きく逸れてしまう。

「やっば....！」

口元に手をあて、顔を引き攣らせるA。

「どこ蹴ってんだよこのヘッタクソ！」

ヒロトから罵倒されるも今回ばかりは

何も言い返せず、肩を落とすA。

そこへ灰崎が駆け走り、Aのミスを

カバーするかのようにギリギリのラインまで

踏み込んでボールを受け取った。

「この程度のボールも取れないようで

ゴッドストライカーなんて聞いて呆れるぜ！」

鼻で笑い飛ばし、ヒロトを見下す姿勢を変えない灰崎に苦虫を噛み潰したような表情をするA。