星を超えた想いを9【オリオンの刻印】 (ページ23)

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痺れページ23

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イナズマジャパン対レッドバイソンの試合は

まもなく後半戦が始まろうとしていた。

各代表選手達がフィールドへと散らばり

試合を今か今かと待ち望んでいた。

「やっぱり緊張する.....」

何度も深呼吸を繰り返して

心を落ち着かせようと胸に手を当てるA。

「リラックスしていこう、日暮さん」

「カバーは俺たちに任せて！」

明日人、タツヤの励ましに「うん」と

頬を緩ませて頷いたA。

するとその時ビリッという音とともに

手首に静電気がはじけたような感覚がした。

「いたっ.....」

一瞬締め付けたような気がして、一星から

貰ったばかりのミサンガを見つめるが

特にこれといった変化はみられなかった。

「どうかしたのか？」

隣に立ち並ぶ氷浦から心配の声が掛かる。

「う、ううん、なんでもない！

(今、ビリッとした気がしたけど.....気のせい？)」

氷浦に笑顔を向け、改めて手首についた腕の

ミサンガを見つめる。「静電気かな」と

その時の彼女は、そこまで深く気にしなかった.....

イナズマジャパンが後半戦からメンバーを

替えて試合に挑む中、実況者からの

熱いメッセージがヒロトとAにおくられる。

【イナズマジャパン、新たに入ったのは吉良ヒロト！灰崎凌兵とツートップとなります。】

フィールドの悪魔とゴッドストライカー。

今まで相見えなかった二人の選手が日本代表の

選手としてフィールドに立っている。

しかし、会場の歓声とは裏腹に灰崎とヒロトは

ライバル意識のような火花を散らしていた。

【そしてDFの万作に代わって入ったのは

実力がまだ未知数の日暮Aだ！】

わあああっ、と歓声が沸き上がり、観客席にいた者達はフィールドに立つAに視線をそそいだ。

【彼女は以前、皆さんご存知FF地区予選での

星章学園対木戸川清修戦で素晴らしい

サッカーテクニックを披露してくれました！

代表に選ばれた今、期待が高まるその中で、どんなプレーを見せてくれるのでしょうか.....！】

褒め殺しとはまさにこの事を言うのだろうか。

実況者の事細かい説明とともに加えられた

"期待"という言葉。その言葉だけでも

その華奢な背中に重くのしかかった.....。

「角馬さん、好き勝手に盛ってくれちゃって

ただでさえ恥ずかしいのに.....ッ」

「頑張れ」「Aちゃん」などの慣れない

声援に包まれて、耳まで赤くしたAは

恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだった。