星を超えた想いを9【オリオンの刻印】 (ページ17)

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蠢くページ17

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豪炎寺がいない十人で試合に挑んだ日本。

韓国の激しい攻めあたりに苦戦を

強いられていたものの、なんとか韓国から

ゴールを守り、前半は一対一の同点で

ハーフタイムを迎えることとなった。

「豪炎寺、ダメージは大きいのか？

あとを引きそうなのか？」

怪我の具合を心配する鬼道の質問攻めに

豪炎寺は困ったように眉尻を下げて口を開いた。

「おいおい、俺は医者じゃないんだ。

怪我の大きさは分からない。」

例え医者の息子といえど、医学の知識に

詳しいわけではないということだ。

「修くん、これ.....替えのアイスパック」

「ああ、すまない」

怪我のしている患部に優しく氷をあてると、豪炎寺の顔が少しだけ歪んだ。

「ご、ごめん.....痛む、よね」

深い悲しみの色を眉の間に漲らすA。

「そんな顔をするな、お前のせいじゃない。」

「でも.....」と、まだ思いつめた表情をする

幼馴染みに、妹をあやす時のように

頭をそっと撫でてやると、泣きそうな顔を

して、唇をきゅっ、と尖らせる。

「私、聞いたの.....。韓国選手がミッションコンプリートって言ってたこと。」

「本当か、日暮」

鬼道が確認するようにAに問いかけると

彼女は無言のまま頷いた。

両膝に置いていた手が小刻みに震えている。

「どんな手を使ったのかは知らないけど

世界が注目するこの試合で、あんなことを

するなんて、許せないです.....ッ」

その言葉に鬼道、豪炎寺が頷く。

Aが必要以上に韓国選手に突っかかって

いたのには理由があったのだ。

「やはりこの試合、何かがおかしい。

日暮の言っていることが事実なら尚更だ」

鬼道が考察するように呟く。

まるで目に見えない何かが蠢いているようだと、豪炎寺もこの試合の違和感を感じていた。

「豪炎寺、こんなところでお前を失う

わけにはいかない。俺は"お前"と世界に

行きたいんだ。"お前と、円堂と.....！"」

普段は冷静沈着で、ピッチの絶対指導者とも

言われている鬼道が、こんなにも熱くなって

豪炎寺と向き合っている。

そんな二人の様子を見守っていた

__その時__

再びAの耳元できーん、という

劈くような音が鳴り響く。

「(また、この音.....)」

いつからか、定期的に聞こえるようになった

その耳鳴りにAは頭を片手で抑えるも

「また直ぐに治まる」そう自分に言い聞かせ

気づかないふりをして

その痛みに耐えるしかなかった.....。