星を超えた想いを9【オリオンの刻印】 (ページ14)

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義憤ページ14

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鬼道に肩を貸してもらい、フィールドに座り込んだ豪炎寺は苦痛で顔を歪めていた。

「ちょっと、冷たいですよ」

コールドスプレーをかける杏奈。

膝小僧は痛々しく腫れ上がり

豪炎寺の怪我の具合を物語らせる。

「大丈夫ですか、豪炎寺さん！」

膝をつき、手当手を受ける豪炎寺を心配する一星。

その隣で、Aは立ち尽くしたまま

光のない瞳で豪炎寺を見下ろしていた。

「何があった？豪炎寺」

鬼道が一連の経緯を聞くが、豪炎寺は首を横に振る。何かが光り、一瞬目が眩んだと話す。

一通りの手当てが終わるも、打撲がひどいのか、一人では立てそうにない。

「豪炎寺さん、俺の肩に捕まってください！」

一星が豪炎寺の腕を肩に回して、立たせるとゆっくり足並みを合わせてベンチへと連れていく。

ケタケタと笑う韓国選手たちに、今まで心の中で怒りを抑えていた何かが弾けるような音がした。

「あいつら.......」

もはや、自分でも制止ができないほどの怒りに駆り立てられたA。

「A？」

救急箱をしまい、自分たちもベンチへと

戻ろうとしたその刹那、杏奈はいつもと違うAの様子に違和感を感じて、顔を上げる。

「A、どこに行くの？」

ベンチとは違う方向へと歩いていくAに

杏奈が慌てて声をかければ、先に

戻っていた一星たちが後ろを振り返る。

「A、待って！！A！」

救急箱を投げ捨て、彼女の後を追いかける杏奈。

しかし、その声も虚しく、Aは

早歩きで韓国人内へと向かっていくと、首謀者であるペクの胸ぐらを乱暴に掴みあげた。

彼女の意外な行動に騒然とする韓国選手たち。

「なんだお前。」

「な....た、の.....修.....に」

華奢な両手で乱暴に胸ぐらを掴んで

ボソボソと俯きながら話すAに

「あ？」と何言ってんだこいつ、と

言うような目で睨み下げている。

「私の幼馴染みに何したのかって聞いてんのよ！！

この.......ッバカ選手！！」

俯かせていた顔をあげて叫んだ彼女の声は

会場全体に響き渡った。

「何とか言いなさいよッ!!」

騒然となる会場。

興奮がおさまらないなかで息を切らすA。

「日暮を止めるぞ、稲森！」

「は、はい！」

ポジションに戻りかけていた鬼道がこれ以上はまずいと判断し、明日人と共に駆け走る。

目尻を険しく吊り上げて、感情を顕にした

Aの姿に、明日人たちは初めて

彼女の本当の「怒り」を目にした.....。