ゴッドストライカー ページ7
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「南雲くん、手足の痺れは大丈夫？」
意識があるとはいえ、念の為確認をとったAに「問題ねぇ」と額を抑えながら返答する南雲。
「よかった...。どなたか氷を持ってきてくれませんか？」
Aが近くに立っていたスタッフたちに声をかけると、その中の一人が慌てた様子で走っていくと暫くした後、布に包んだ氷袋を持ってきてくれた。
「南雲くん、今はこれで熱を冷やして？」
スタッフから氷袋を受け取ると、南雲の額にゆっくりと乗せたA。するとひんやりして気持ちがいいのか息をつく南雲。
安心して胸を撫で下ろしていると、乱暴に頭をクシャクシャと撫で回される。
「ちょ、何!?」
その手を両手で払いのけ、その人物をキッと睨みあげるとそこには ポケットに片手を突っ込んだままフィールドを眺めるヒロトの姿。
「そこで見てろ。永世学園、吉良ヒロト様の活躍をな。なんせ俺は ゴッドストラ...」
ふと、先程まで置いていたはずの手に違和感を感じたヒロトは下を向いた。そこにはしゃがみこんでいたAの姿はなく...。
「瞳子さん、私はこれで。」
「あなたが来てくれて助かったわ、ありがとう。」
肝心の彼女は姉の瞳子にお辞儀をして全くもって自分の話に耳を貸していなかった。
「てめぇ、人の話聞けよ!? このブス！！年増！！」
と、ぶつぶつ呟きながらフィールドへと向かっていくヒロト。
「な、何怒ってるの？彼」
急に怒り出したヒロトを指さしながらタツヤに聞けば、彼は「さぁ」と困ったふうに笑った。
永世学園は吉良ヒロトを加え、再び試合再開のホイッスルが鳴り響く。
試合再開直後、ヒロトへとボールが渡ると 彼は一人で雷門陣内へと切り込んでいった。巧みなプレーで選手を次々と抜いていく。
「すごい... あれがヒロトくんのサッカー。」
その強引かつ凄まじいプレーに、Aは思わずその場に立ったまま釘付けになってしまう。
「独りよがりのプレーが目立つけど、あれはヒロトなりの個人技なんだ。」
顎に手を当ててAに説明をするタツヤ。
「個人技...？」
Aは疑問符を浮かべながら フィールドにいるヒロトに再び目を向けた。
腰に手を当て、シュート体勢に入ったヒロトは 勢いよく片足でボールを蹴りあげる。そして目にも止まらぬ速さで空中旋回を繰り返していく。
「ザ・エクスプロージョン！」
ブラックホールのように黒く闇を帯びたその必殺技は、のりかのマーメイドヴェールをも打ち砕き 雷門ゴールを貫いた。
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年8月10日 20時
