ゴッドイレブン ページ18
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再び雷門イレブンが吉良ヒロトを集中マーク。一人で突破しようと試みるも、鉄壁とも言えるそのDFにヒロトは苦戦を強いられる。
「ヒロト！本当のサッカーは十一人でやるものだ。それは一人でやるより、ずっと楽しいものなんだ！」
相槌も打たずにヒロトはタツヤの言葉に、静かに耳を傾ける。
「思いをひとつに、仲間たちと高い場所を目指す！それがサッカーだ！」
ヒロトの瞳に、幼き頃のタツヤが重なる。
−−−「俺たちと一緒に行こう」−−−
その言葉が、タツヤの思いが、ヒロトに通じたのか「おもしれぇ。」と冷笑を頬に浮かべると、ヒロトは強烈なシュートを繰り出した。
「俺のはちょっとばかし強烈だぜ？」
選手たちがヒロトの行動に驚く中、シュートかと思われたボールはタツヤへのパスであることがわかった。タツヤはヒロトの思いに応えるべく、痛む足にムチをうちながら走り続ける。
明らかに永世学園の雰囲気が変わったことを肌で感じた趙金雲は、ベンチにどっしりと座りながら「大ピンチ」だと呟いた。
まだ状況把握ができていない杏奈が不思議そうな表情で監督を見つめていると金雲はこう説明した。
「ゴッドストライカーだった吉良ヒロトが、ただのサッカープレーヤーになってしまったようです。」
「それって、レベルダウンってことじゃ...」
確かに普通に考えれば、つくしの言っていることは正しいのかもしれない。
しかし監督は首を横に振り、吉良ヒロトがチーム連携を気にし始めたことで「ゴッドストライカー」から「ゴッドイレブン」へと引き上げる可能性を秘めていることを話した。
「そっか...。基山くんの思いが、やっとヒロトくんに通じたんだ。」
張り詰める空気の中で、場違いにもAは嬉しそうな表情と声色でフィールドを走るヒロトとタツヤを見つめた。
「って、感心してる場合じゃないでしょ？」
すかさず杏奈がつっこむ。Aは隣に座る杏奈に一度顔を向けて「そうなんだけど」と言うと、再びフィールドに視線を戻した。
「なんてゆうか...。あんな楽しそうなヒロトくんたちを見てたら、応援したくもなるっていうか。」
そんな気持ちにさせてくれる素晴らしい試合なのだと、Aは遠回しにそう言った。
「ダメ！ダメだよAちゃん！永世学園は敵なんだから！」
その言葉を間に受けたつくしが、赤子に叱りつけるように「めっ！」と人差し指をAの口元にあてながら言うと、Aは少し困った表情で笑ってみせた。
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年8月10日 20時
