時を超えた想いを6【アレスの天秤】 (ページ17)

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信頼ページ17

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明日人のロングパスは小僧丸を追い越してしまい、永世選手の元へと落ちていく。それを見越していた剛陣がすかさず「ファイアトラップ！」と叫び、明日人のミスパスをカバーして、ボールを胸で受け止めた。

「仲間を信じているとでも言いたいのか!?」

彼らの一つ一つの行動が、ヒロトの神経に障る。

－－－自分には、誰もいなかった。

－－自分が蹴ったボールを取ってくれる相手など。

歯を食いしばり、悔しそうに雷門を睨みつけるヒロト。その刹那、雷門ベンチに座っていたAの声がフィールドに響き渡った。

「いいわよその調子！このままの勢いなら勝てるわ！頑張って、みんな！！」

ベンチから声を張り上げるように、雷門にエールをおくるAの姿を目の当たりにしたヒロトは大きく目を見開き、瞳を揺らす。

「Aちゃんの言うとおり！頑張ってください、みんな！」

つくしもAの行動を見習い、ベンチから立ち上がると両手を口元にあてながら声を張り上げた。

その声が彼らにとどいたのか、明日人たち雷門イレブンの指揮が向上したように感じる。

「さあ、俺をもっと楽しませろ！」

ゴール前まで上がってきた明日人はシュート体勢に入る。そんな明日人を前に、両手を力強く叩くと中腰に構える砂木沼。

同じ過ちは二度繰り返さない。それが砂木沼治という男だと、自らの口から言い放った。そしてその言葉が彼にさらなる力を与える。

「ドリルスマッシャー！」

飛び上がり、目にも止まらぬ速さで高速回転を繰り返すとシャイニングバードへ突っ込んでいく。その名の通り、ドリルがシュートを打ち破ったのだ。

「止められた!?」

ここにきて新たな必殺技を編み出した砂木沼に、明日人たちは悔しそうな表情を浮かべた。

「今のシュートはなかなかよかったぞ。ますますのっていけそうだ。」

.....彼の煽りスタイルは健在のようだ。

「あー！惜しい！」

つくしが指パッチンで音を出し、悔しそうな表情を見せる。

「ドンマイドンマイ！落ち着いていけば次は決めれる！」

Aもまた、ベンチから彼らに励ましの言葉を与えた。

砂木沼からのロングパスを受け取った緑川は前線へと上がっていくタツヤへとパスを通す。そして何を思ったのか、タツヤはヒロトへとボールを繋げた。

「なんでヒロトにボールを渡すんだよ!?」

「雷門の思うつぼたろう!?」

緑川や涼野がタツヤにたいして不満を零す中、パスを受け取ったヒロトは驚いた様子でタツヤを見つめていた。