圧倒的力の差 ページ9
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【星章学園、灰崎凌兵。その姿はまさにフィールドの悪魔そのものだ！】
雷門を圧倒するだけではなく、プレッシャーをもかけていく灰崎のプレースタイルに雷門イレブンは彼の暴走を止めることが出来なかった。数歩後から灰崎の背中を追いかけながら鬼道は彼の中に見える闇を見据えていた。
「(稲森...。お前ごときに俺のサッカーを語る権利はねぇ！)」
灰崎から折緒へのパスが繋がる。完全に灰崎をマークしていた明日人は逆サイドにいた折の存在に気づくことが出来なかった。
そして灰崎の猛攻が再び雷門を襲う。あっという間にゴール前まで躍り出たが、DF陣に囲まれて先へは進めない。
「灰崎、こっちだ！」
「灰崎くん、折緒くんがフリーよ！」
手を挙げて折緒がアピールをし、Aも声をかけるが 灰崎はそれを無視。構わず一人で突っ込んでいく。鬼道が注意を促すも彼は聞く耳を持たない。
「(稲森、見せてやる！)」
彼を敵視している灰崎は後ろで自分を追いかけてくる明日人を睨みつけ、シュート体制へと入った。
「パーフェクトペンギン！」
オーバーヘッドペンギンのときとは違う凄まじい威力の灰崎の新たな必殺技に会場の熱気は最高潮へと達した。複数のペンギンたちが一つとなり大地を裂いて雷門ゴールへと突き刺さる。
【新たな必殺技！続けざまに星章二点目だ！】
試合が始まってまだ数分しか経っていないというのに二点も差がつけられ、焦り始める雷門イレブン。止められなかったのりかもまた悔しそうに地面を叩く。
「勝つのはわかってる試合だろ？日暮の言うとおりにしてやってんだ。お前も従えよ。」
点を決め、持ち場へと戻り過ぎ去る灰崎に声をかける折緒。そして水神矢は何故そこまで稲森明日人に拘るのかと問いただした。
「ムカつくんだよ。勝手な綺麗事を並び立てるやつが！」
灰崎の苛立ちが火山のマグマのように膨れ上がる。サッカーをしている理由は人それぞれ。しかし灰崎はサッカーをしたくて始めたわけではなかった。
「灰崎くん...。」
Aは苦しんでいるような灰崎の姿を数日前の出来事があった彼と重ねて見えてしまった。
−−−数日前
雷門イレブンたちの特訓を終えたAは時間に余裕があり、以前雑貨屋で買ったクマを持ちながら隣町の総合病院へと赴いていた。
「灰崎くん、今日はいるかな？」
淡い恋心を彼に抱いてからというもの、灰崎に会うのが楽しみで仕方がなかったAは頬を緩ませながら茜の病室へと足を運んだ。
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年6月19日 14時
