時を超えた想いを4【アレスの天秤】 (ページ34)

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開幕ページ34

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「永世学園の皆さん、スタンバイお願いします！」

永世学園のプラカードを持ち、選手を誘導する女性が招集をかけると永世選手たちは決められた列順通りに並び始める。

「日暮さん...本当にごめん！」

「基山くんが謝ることじゃないから！」

申し訳なさそうに眉を下げ謝るタツヤにAは首を横にぶんぶんと振る。

同じ中学生とは思えないヒロトの態度に憤りを感じながらも、Aは次の学園がやってくるのを待っていた。

「日暮さん！」

「どうしたの？」

その時、選手を誘導する女性から声がかかり、Aは小走りで向かう。

「列の順番なんですけど、吉良くんが...。」

言いにくそうに小声でAに耳打ちをする女性。ふと列に目を向けると、なんとヒロトがタツヤの前に立ち、彼を困らせていたのだ。

「あいつ...。」

先程のこともありイライラしていたAはズカズカと永世学園の先頭へ向かうとヒロトの襟を持ち、引きずりながら彼を一番後ろへと並ばせる。

「何しやがる年増！！」

「年増言うな！！」

きゃんきゃんと吠えているのはどっちなのか。最後までAに暴言を吐きながら、ヒロトは入場ゲートへと足を進めていく。

入場していく永世学園に会場が盛り上がりを見せている中でスタジアムのモニターには入場前に撮影したインタビュー映像が流れていた。

【得点率NO.1の永世学園ですが、全国でもやはりガンガン行きますか？】

女性アナウンサーがマイクを持ち、隣に座るタツヤへとインタビューを開始する。

【これまでは運が良かったというのもあります。大会の新参者ながら、精一杯やらせていただきます。】

大人顔負けの礼儀正しいタツヤのコメントに気分を良くしたアナウンサーは足を組みながら違う方を見ているヒロトに質問を投げかけた。

【そちら得点王の吉良ヒロトくんですね。何か意気込みを聞かせてください。】

立ち上がり、ヒロトへとマイクを向けると彼は面倒くさそうに口を開いた。

【何故俺が得点を決められるかだって？それは、俺がゴットストラ......あ？カンペ？】

映像では分かりにくいが、ヒロトがカメラの先にいたAのカンペに気がついた。"もっときちんとしたコメントを"と殴り書きしていたその言葉に、ヒロトは...

【年増の言うことなんか一々聞けっか...!?】

カンペがヒロトの頭を直撃し、そこでインタビューは終わっていた。

「あそこはカットって言ったのに...」

その映像を見ていたAは溜息をつき、落胆した。