カウンター ページ7
。
ゴールネットに入り、転がっていくボールを唖然と見つめる選手たち。ホイッスルが鳴り響いたと共に会場が盛り上がりをみせた。
【ファイアトルネードと言えば豪炎寺修也ですが、小僧丸も使いこなしています！】
点を入れたことにより雷門イレブンの指揮も格段と上がる。剛陣と小僧丸は拳と手のひらを合わせて、絆を深める。
「入った！入ったよAちゃん！」
「うん、うんっ！」
両手を絡めあわせ、先制点を取ったことに飛び上がり喜びを身体で表すAとつくし。
「ほんと、すごいよゴーレム！」
「にしても驚きすぎだろ。」
得点へと繋がったのは岩戸の必殺技があったからだと言わんばかりに彼の周りに服部と万作が駆け寄る。
「必殺技出しそうな予兆、全くなかっただろ？」
「なんか、出ちゃった。」
後から来た道成にもそう言われ、一番実感がなかった彼は両手を円の字に描きながら呟いた。
「それって落書き消しのおかげじゃない!?」
服部が見た事のある手の動きにたいして特訓の成果だと告げると、岩戸は嬉しさと恥ずかしさのあまり顔を赤らめる。
「壁の気持ちが分かったようですな。」
「壁の気持ち!? すごーい！」
その様子をベンチから見ていた監督が呟くと、つくしが大げさなリアクションをとった。
「どういう理屈？」
「気合と根性ってことじゃない？」
わからないと言った顔をしている杏奈にAが助言をするも納得しきれてはいないようだ。
「でもすごいです、いきなり点いれちゃうなんて！」
「確かに。どういうことです？」
感心するつくしとは対照的に、冷静な杏奈。間に挟まれているがAは左右に座る二人の温度差に苦笑いをこぼす。
「私の良く知るクンフーにこういう技があります。その名も"カーウンタォーオ"」
ターンをしながら監督の口から出た言葉は誰もが聞いたことのあるものだった。
「今、カウンターって言いましたよね。」
「私もそう聞こえた。」
ジト目で趙金雲を見つめるAと杏奈だが、純粋なのか素直なのか、つくしは手を叩いて納得していた。
「中国風に言ってるだけだし。」
「こんなふざけた監督に適わないのがなんだか無性に腹立つわ。」
相変わらずカウンターを訛らせて中国風に言っている監督にAは真面目に取り組んでいるのに負けているのが腹立たしく感じていた。
それは隣に座る杏奈も同じようだ。
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年4月28日 12時
