時を超えた想いを2【アレスの天秤】 (ページ41)

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アディショナルタイムページ41

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星章学園の同点ゴールが決まり、アディショナルタイムへと突入したこの試合の行方は残り一分で勝敗が左右されることになる。

互いのチームに緊張感が走るのがベンチに座る彼女たちにも伝わってきた。

「Aちゃん･･･。」

「お願い、みんな･･･っ！」

互いに手を取り合い、祈るようにして試合の行く末を見守る春奈とA。

運命のホイッスルが鳴り響くと、試合は再び再開される。今までとは違うサッカープレイを見せる木戸川清修に星章学園は次々と抜かれていく。

「今こそ決めるとき！」

「ファイヤートルネードを超える俺たちの必殺技！」

武方勝がゴール前まで迫ると、その弟である武方友、務は兄の隠し玉とも言える取っておきの技に期待が膨らんでいく。

「バックトルネード！」

ファイヤートルネードとは反対回転の武方勝の必殺技がキーパー天野へと襲いかかる。

「天野くん、お願い!!」

「止めろ、もじゃ！」

Aと灰崎の言葉がシンクロし、天野は強い信念を持って必殺技を繰り出した。

「もじゃキャッチ！」

黒いオーラを纏い、全てを飲み込むような紫色の渦の中でボールが暴れ狂う。武方勝の必殺シュート、バックトルネードは見事にとめられてしまう。

残り時間僅かの中、イレブンバンドが表示された時間は三十秒。星章イレブンはこれを機にDF以外全員を前線へと上がらせる。

「間に合わねぇ！」

辿り着くまでに試合が終わってしまうことを恐れていた双子玉川だったが、灰崎の素早い走りに全てをかけてパスを回す。

「もらった！」

相手の行動を読んでいた豪炎寺もまた、素早いマークでボールを防ぎにかかる。だが、既のところで鬼道が豪炎寺へと向かうはずのボールをカットした。

「やった、兄さ･･･鬼道さん！」

「でもあのボールじゃ間に合わないわ！」

パスミスだと判断された鬼道のボールは、灰崎の斜め方向へと逸れていく。その状況に思わず立ち上がるAと春菜。

「楽しませてくれんじゃねぇか！」

「なんだそのスピード!?」

ものすごい速さで切り抜けていく灰崎に、木戸川DFは追いつけずそのままゴール前までの侵入を許してしまう。

「とどけ！」

「お願い、とどいて！」

各それぞれの想いを受けて、灰崎がボールへと走り込んでいく。

【灰崎とどいた！フィールドの悪魔ここに降臨！】

全てを見越していた鬼道のミスキックとも思わせるパス回しは、灰崎のスピードなら追いつけると予想してでの出来事であった。