第6話:険悪 ページ28
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再び星章のスローイングから試合が再開された。Aからのボールを鬼道が見事受け取ると、彼は前線へと上がっていく。
その様子を見守りながら、Aは指示通りに灰崎の前へと位置づく。
「退け！俺に関わるなと言ったはずだ!!」
後から聞こえてくる灰崎の声。そんな彼に、Aは振り向かずに一喝する。
「ろくにシュートもとめられないクセに、そんなこと言わないで！」
「なんだと!?」
Aの言うとおり、言い返す言葉が見つからない灰崎は拳をゴールポストに叩きつけ彼女を睨む。そんなやり取りをしているうちに、試合は進む。
【おっと、鬼道と豪炎寺、雷門中で共に全国を制した元チームメイト同士による激しいマッチアップだ！】
競り合い制した鬼道は折緒へとボールをパスするが、既のところで西垣にボールをカットされてしまう。これも豪炎寺側の策なのだと鬼道は理解した。
そしてボールは西垣からマークがない豪炎寺へと繋がれる。
「今こそ木戸川清修の真のチーム力を見せる時だ！」
豪炎寺、武方の翻弄されるボールのパス回しに成すすべがない星章イレブン。
【速い速い！木戸川清修の華麗なパス回しに星章は全くついていけません！】
「なんだこの速さは!?」
マークをする暇もなくボールに追い越されていく魚島は声を上げると同時にすぐさま追いかけるが間に合わない。
「ここで食い止めなければ･･･。」
残りはDFのみ。水神矢の頬に冷や汗が伝う。
「水神矢くん･･･」
キャプテンであるが故、重荷もたくさんある水神矢。ただでさえ彼は溜め込む癖がある。Aは心配そうに名前を呼んだ。
「日暮、お前はここでゴールを守ってくれ。」
Aは無言で頷く。
「すまない、初心者のお前に無茶をさせてしまうことになって。」
「気にしないで、そんなことより今は目の前の敵に集中しなくちゃ！」
申し訳なさそうな顔をする水神矢にAは、元気づけの言葉をかける。任されるのは確かに大変な事だが、それだけ信頼されているという証拠の現れでもあるからだ。
「なにやってんだ！止めろよ役立たずどもが！！」
イライラを隠しきれていない灰崎が、やきもきしながら選手に暴言を浴びせる。
「役立たずはお前はじゃないのか？」
「あぁ!?」
天野の言い返しに、怒りの矛先を彼へと向ける灰崎。
「DF、集中しろ。」
ただでさえ険悪にムードが、これ以上悪くなるのは避けたい水神矢は注意を促すと天野がその場を引いた。
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年4月28日 12時
