プライドと葛藤 ページ27
。
Aが武方勝の前に立ちはだかる。
「ここは通さない！」
「なめるんじゃねぇ、みたいな！」
Aと勝のボールの競り合いが始まる。一歩も譲らない戦いに、会場は彼女への期待が高まってゆく。
【なんと！日暮、武方からボールを奪った！競り合いを制したのは日暮だ!!】
「なに!?」
甘く見ていたこともあり、勝は動揺を隠せない。
「やった、取れた！」
「まだまだ甘い！」
ボールを取れたことにより、油断していたAは豪炎寺に不意をつかれてしまう。
【あーっと！しかし豪炎寺にボールを奪い返された！】
「そんな!?」
Aを抜いた豪炎寺は、そのスピードで再び木戸川清修のシュート体制となる。ゴール前にいるのは灰崎のみ。彼を除く者達は水神矢の指示でゴールへ戻る。
「ファイアトルネード」
豪炎寺の必殺技がゴールキーパー灰崎を襲う。
「灰崎くん！！」
目の前で立ち尽くしたまま、迫ってくるボールを唖然と見つめる灰崎にAは声を張り上げる。その時、戻っていた白鳥と八木原が灰崎の前に立ちはだかった。
【止めたー！灰崎をフォローするように、DFの白鳥と八木原が決死の防衛だ！】
ボールを身体で二人がかりで止めることに成功した。その反動で灰崎は尻餅をついてしまう。そしてこぼれ玉を三男の武方務が拾う。
「もらった！」
【これはセンタリングか!?灰崎は動けない！】
呆然とセンタリングを放つ武方のボールをただ見つめるだけで動けない灰崎。
「やらせない！」
【なんと、ゴール前まで戻ってきた日暮が、ボールをカット！星章学園、間一髪だ!!】
センタリングボールを足でなんとか防いだAはボールを一度白線の外へと蹴りあげた。
「ま、間に合った･･･。」
「日暮、いい判断だ。」
その場にへたり込むAに手を貸すようにして白鳥が立ち上がらせる。
「余計なことをするなと言ったはずだ!！」
突如後から、灰崎がAへと向けて言い放つ。
「うるさいわね！あんた、キーパーなんてしたことないくせに変な意地はってんじゃないわよ！」
「あんなボール、次は止められる！邪魔をするんじゃねぇ!！」
言われるばかりでは黙っていられなかったAは灰崎の元へと近寄り、拳をフィールドに叩きつけながら言い放った彼をAは無言のまま睨み下げる。
「俺はこんなところでうだうだしてる暇はねぇんだよ･･･鬼道ォオオオ！！」
立ち上がりながら叫ぶ灰崎の声は、会場全体にこだました。
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年4月28日 12時
