時を超えた想いを2【アレスの天秤】 (ページ24)

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星章学園の闇ページ24

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異例とも言える今回の作戦に静かだったミーティングルームは騒がしくなった。

「鬼道さん、これは灰崎ではなくとも意義をとなえたくなりますよ。日暮に至ってはサッカーは未経験。これがどういうことか説明してください！」

チームを代表して、前の席に座っていた水神矢が立ち上がり鬼道に今回の意図について聞き出そうと試みる。

「果たしてそうかな？」

「どういう意味ですか！」

焦らすような鬼道の言い方に、水神矢は思わず声を上げた。

「日暮は確かに本試合は未経験だ。だがこいつは、豪炎寺からサッカーの基礎を教わっていた。それがどういうことかわかるか？」

「あの豪炎寺修也から!?」

鬼道の突拍子もない言葉に、今まで彼に注がれていた視線は自然とAへと移り変わる。最初に口を開いたのは折緒であった。

「日暮、本当なのか？」

水神矢の問いかけに、Aはゆっくりと頷く。だが彼女が豪炎寺から教わったのはリフティングのみであった。それは鬼道も重々承知のはずだ。

「今日の試合には豪炎寺が出る。本気を出さなければ星章は負ける。」

「灰崎をキーパーにし、日暮を入れることが何故星章の本気を出すことになるんですか？」

豪炎寺と言えば、炎のエースストライカーの異名を持つ選手だ。鬼道とも共に戦った同志であり仲間。水神矢はだからこそ意見する。

「お前達は豪炎寺という男の恐ろしさを分かっていない。日暮だけがあいつの強さを一番知っているはずだ。」

「だから･･･私をチームに入れるんですか。」

Aの問いかけに無言で頷いた鬼道。

「それとこれと、日暮をチームに入れるのに一体どんな理由があるのですか!?」

「俺は監督からチームの指揮を一任されている。試合に出る以上、俺の指示に従ってもらう。」

水神矢の張り上げるような声とは対象的に、鬼道は冷静に答える。その冷静さが逆に灰崎の苛立ちを駆り立ててしまう。

「豪炎寺がどんだけすげぇかしらねぇが、そいつが相手なら尚更奇を衒った作戦が通用するわけ･･･。」

「今回の件は監督も了承済みだ。不満があるなら監督に直談判でもするんだな。」

灰崎の言葉を遮って告げた鬼道の言葉に一同は驚きを隠せない。そしてこれ以上何も言うことを許さないと言っているようにも見て取れた。

「(足を引っ張らないように･･･頑張らなきゃ)」

Aはもらったばかりのユニフォームを胸の中で抱きしめながら強く決意した。