時を超えた想いを2【アレスの天秤】 (ページ22)

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答えページ22

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静かな部屋にAの声だけが響き渡る。その声はひどく震えていた。

「今まで正しいと思っていたものがある人を不幸にさせていて･･･。だけど、その正しいことで沢山の人は救われていて。」

茜のことがあり、信じてきたアレスの天秤の存在意義が分からなくなってしまったAは涙ながらに鬼道にうったえた。

「･･･答えは明日のフィールドにある。」

鬼道が出した答えはその言葉のみであった。

「フィールド、ですか？」

「時期にわかる。」

鬼道に意味深な言葉を残され、不安を感じていたAはそのまま次の朝を迎えてしまった。あれだけのことが一気に起きたのだ、眠れるはずもなかった。

寝不足気味のAが小さな欠伸をして星章学園へ辿り着くと、既に何人かの選手がミーティングルームへ足を運んでいた。

「Aちゃん、久しぶり！」

「春奈ちゃん！」

後から肩を叩かれ、振り返るとそこには同じマネージャー仲間だった"音無春奈"の姿。

「今日は大変かもしれないけど、頑張ってね！」

「頑張る？･･･何を？」

話の意図が読めない、と春奈を見るA。

「昨日お兄ちゃ･･･鬼道さんから電話なかった？」

「あったけど、"答えは明日のフィールドにある"って言われたけど。」

春奈は手を頭に当てて深いため息をつく。不思議そうに首を傾げていると、肩に誰かがぶつかる。その人物にAは目を見開いた。

「なんで･･･」

「灰崎くんのこと？」

何故彼がここにいるのか、Aは動揺を隠せないでいた。遠くなる灰崎の背中を見つめながら問いた。

「彼、昨日急に試合に出るって言い出したの。どうしてなのか私にもわからないけど。」

事前に連絡があったと聞いた春菜の言葉に、Aは今日一日の気まずさを覚えながら重い足取りでミーティングルームへと消えていく。

ミーティングルームへとつき、各々が席に座るところから少し離れた場所に灰崎が腰掛ける。

「試合には出ないんじゃなかったのか、灰崎。」

白鳥が通路を挟む席から言葉を放つ。

「今日は朝から調子よくってな。腹ごなしに来てやった。」

「来てやった、だと!?」

灰崎のでかい態度に白鳥が大声をあげ、席を立ち上がる。その彼を隣に座っていたAが止めた。

「やめて、白鳥くん。」

「日暮･･･お前、顔色が悪いぞ。」

なるべく灰崎と関わりたくなかったAは俯いていたため、余計に顔色が優れていないということが白鳥ですら気づいてしまう。