第3話:早朝 ページ34
。
次の日の朝。
ジリジリと鳴り響くイレブンバンドのアラーム。
「ほら 朝よ？」
時計は6時を回っていた。
イレブンバンドの時計に加えて、聞こえる高い声。
明日人と万作は重たい目をゆっくりと開ける。
「ほら、明日人、万作くん起きなさい！顔洗って歯磨きよ！」
いるはずのない人物の声。
焦点があった目で改めて確認するとそこにいた人物に驚きの声をあげる。
「日暮！？」
「なんで、Aがここに！？」
起き上がり、雷門の服を着たAを凝視する二人。
「何寝惚けてるの？ここ東京よ？それに、昨日から私もここに住むって話したでしょ？」
Aにそう言われ、昨日のことを遡る。
スポンサー契約を済ませた後、A自身も駅が近いということで便利だと言い 木枯らし荘に住むことを決めていた。
「そ、そういえば。」
「忘れてたのね。」
頬を掻き、上を見上げる万作の額を人差し指でつつくA。
「とにかく、もう朝ご飯はできてるからさっさと食べましょう？」
カーテンを開き、窓を開けて中の空気を入れ替えるとAは二人を連れて食卓へ向かう。
「皆は？」
「とっくに起きてるわ。」
食卓までの廊下を歩く中、質問した明日人にAは答える。事前に彼女が皆を起こしに回っていたようだ。
「あれ、服部がいない。」
しかし、いざ食卓へつくと一人だけ足りないことに明日人が気付く。
「岩戸くん、服部くんは？」
「それが･･･まだ寝たままでゴス」
Aが起こしに行った際には起きていたが、彼女が部屋を出た途端二度寝したと岩戸は言う。
「服部はなかなか起きないからな。」
料理を運ぶ手伝いをしていた万作が言った。
「でもご飯冷めちゃうよ？」
同じくご飯を運んでいたのりかが心配そうに呟く。
「も、もう一度起こしてくるでゴス！」
「いいえ、私が行くわ。服部くんには喝を入れてあげなきゃね。」
立ち上がった岩戸を止め、Aが自ら行くことを告げて服部が眠る部屋へと向かっていった。
「服部、大丈夫かな。」
「笑ってなかったな、アイツ。」
服部のことを心配する明日人と剛陣。
笑顔だったAだが、その目は笑っていなかったからだ。
そしてその数秒後。
「何やってるのよ起きなさい！！」
食卓まで響くAの声に一同は肩を震わせる。
「あと五分･･･。」
そう呟き、布団を抱き枕のように抱きしめて顔を埋める服部。Aはそれを引き剥がそうと引っ張る。
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年4月6日 17時
