廃部 ページ4
。
「着いたな」
「なんか緊張してきた！」
いざ校長室の前へ辿り着くと今まで楽だった身体が嘘のように固まる明日人。道成に深呼吸するように言われ、深く息を吸い、吐く。
「よ、よし！失礼しま･･･」
扉を手に掛けようとした寸前。校長室の外からでも聞こえるほどの大きな声が響き渡る。
【どういうつもり！？】
声質からして自分たちと歳がそう変わらない女子生徒だろうか。しかし、校長に声を荒らげる生徒など、この伊那国にはいない。
「なあ、明日人。出直さないか？」
場が悪い。そう直感した道成は隣にいる明日人を一瞥するが、そこに彼の姿はなかった。
「失礼します！」
「あ、おいっ！」
目を離した隙に校長室の扉に手を掛け、中へと入っていく明日人。道成も慌てて後を追う。
明日人に続いて 校長室内に入ると、そこには道成にとって身に覚えのある顔が目に飛び込んだ。
「あいつ･･･今朝グラウンドにいた」
知り合いに呼ばれたと言っていたが、それは冬海校長のことだったのだろうかと憶測する道成。
「冬海校長、貴方がどういうおつもりでその様なお考えになったのかわかりませんが、これは決まりなんです。断る権利など貴方にはありません」
自らの主張をするA。明日人たちにはまったく話が見えない発言であった。ただわかるのは、人事ではない。それだけだ。
「いくら言われようとその書類に判は押しませんよ。お引き取り下さい。」
「何故そう頑なにあなたはサッカーを否定するのですか！？」
校長専用の机を両手で大きく叩き、再び彼女の声が静かな校長室に響き渡った。
「サッカーを否定？」
「どういう意味ですか、校長」
まるでその男の過去を知っているかのような口振りで言った彼女の発言が引っかかった道成は、訝しげに眉を顰めると、恐る恐る冬海に質問をした。
「あなたたち、何も聞かされてないの？」
「聞かされるって何を？」
意味深な発言に明日人が聞き返す。するとその女子生徒は一度深いため息をつくと再び冬海を睨みつける。
「生徒にも報告なしなんて、呆れて言葉もでませんね」
「言う必要性を感じないからですよ」
皮肉たっぷり込めた彼女の言葉ですらも、今の冬海には右から左。間に受けるはずもない。
「なら私が代わりに話します。あなたたちの校長の勝手なご意思で伊那国サッカー部は･･･。廃部になるそうです」
たった二文字だけのその言葉は、今の明日人たちをどん底に突き落とすには十分すぎる言葉だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 693人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小雪
| 作成日時：2018年4月6日 17時
