敗北 ページ30
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＜期待された雷門でしたが、やはり伊那国島から出てきたばかりの新メンバーでは星章学園の相手としては荷が重かったか!?＞
一対十の大量得点を許してしまった雷門イレブン。
最初の先制点をとったこともあり、会場からのブーイングも多数見受けられた。
「負け、た。」
力が抜け、フィールド外に座り込むA。
「分かっただろ？お前が期待するほどの奴らじゃなかったってことが。」
「過信しすぎなんだよ」
経たりこんだAの横を通り過ぎる度に星章イレブンが彼女にキツい言葉を浴びせる。
灰崎だけは何も言わずにベンチへと戻っていく。
「珍しいな、お前が熱くなるとは。」
星章イレブンの監督、"久遠道也"が戻ってきた灰崎に告げた。
「ちょっとあいつらのサッカーを見て、むかついただけだ。雑魚のクセに、目だけは一丁前にギラギラさせてやがった。」
久遠の問いかけに、灰崎は雷門イレブンのサッカーに腹立たしさを感じただけだと告げた。
「お前があいつらを見てイラついた理由はあいつらが本気で勝とうとしていたからだ。そこに、日暮も一目おいていたのだろう。」
予想しなかった久遠監督の言葉に、軽く目を開いて驚いた様子の灰崎は雷門ベンチにいる彼らに目を向けた。
「これで終わりですね･･･」
腰が抜けたように座った奥入が言う。
「もう、サッカーはできないんだね。」
「こんなにもあっけなく終わるなんて･･･。」
服部、万作も立つ気力がなくなりその場に座り今回の試合を悔やんだ。
「みんな、なんだよその顔は！絶対にサッカーはいなくならない。諦めなければ必ず、チャンスは来る！」
暗くなるメンバーを見た明日人は、彼らを元気づけようと立ち上がる。
「そうよ、今日のみんな、すごく輝いてた！頑張ってる姿は円堂さんたちに負けないくらい素敵だったわ。」
明日人の気持ちに応えるよう、隣に立ち励ましの言葉をかけた。
二人の気持ちが届いたのか、選手たちは顔をあげて明日人とAの顔を見る。
「俺たち、今までサッカーに救われてきた！辛いことだって乗り越えられてきたんだ！だからサッカーは渡さない。いつか絶対に取り返す！」
「そういうこと。何も一生サッカーができなくなるわけじゃないんだから、今回は今日戦えたことを讃えましょうよ！」
明日人とAの言葉は、メンバー全体だけでなく試合を観戦していた生徒会長の胸にまで響かせた。
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年4月6日 17時
