練習開始 ページ20
。
質問の矛先が自分に向いた事により、自然と注目を浴びるわけだが。
「(勝つこと意外に方法なんてあるのかしら･･･。あるから余裕なんだろうけど)負けないこと意外何があるかわかりません。」
頭の中で試行錯誤するも、何が正解なのかがA
にはわからなかった。
「正解です。」
「は？」
気の抜けた声が出てしまう。
「あなたがたがサッカーを続けていく方法。それは･･･ズバリ、負けないことですね！」
当たり前の正回答に、Aたちはその場でずっこける。
「何この太っちょ！人をおちょくってやがる！」
剛陣が今にも殴りにかかる勢いで反発するが、服部、日和、明日人が羽交い締めにして必死に止める。
「言っておきますが私の練習指示は絶対ですよ？監視役のあなたもそこまで口はだせないでしょう？」
「確かに監督の指示はどんな形であれ絶対です。」
一見ひょうひょうとして何を考えているのかわからないこの監督だが、自分の立場を上手く利用していることがAには読み取れた。
「サボったらそのイレブンバンドですぐわかりますからね。」
そう告げると、いつもの軽快な笑い方でその場を去っていった。
「なんだよあの監督。」
「とにかく、練習をはじめるわよ。」
文句を言いながらも、Aへと渋々着いていく各々は雷門中から離れた河川敷へと向かっていった。
目的地の河川敷に到着した一同は距離が距離だったため少しの間休憩をしていた。
「ちょっと、皆何してるの？」
「何って 見ての通り休憩だが」
地べたに座り込む剛陣の耳を強く引っ張りあげる。
「何すんだよ！」
「ちょっとの距離歩いたくらいで休憩なんて 話にならないわよ、ほら走る！」
耳を抑える剛陣や他のメンバーにも向けて手を叩き、走るように声をかけるA。
「あと五分だけ！」
「ダメよ。」
「あと一分だけ！」
「だーめ！」
岩戸のお腹の上に項垂れる服部の襟元を掴み、無理矢理立たせると二人の一歩も譲らない言葉が飛び交う。
「一日で百周走るんだから今から夕方には終わるわね。」
時計を見て時間を確認するA。
「ゆ、夕方って、今お昼ですよ!? 一体一周何秒で走ればいいんですか!?」
先の遠い話に日和はやる前から脱力する。
「できないじゃなくて、や、る、の、よっ！」
そしてAのスパルタ特訓が笛の音ともに開始された。
「なんか、違わねーか!?」
一抹の不安を抱えながら少年らは走る。
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年4月6日 17時
