報告書 ページ14
。
朝、明日人が自宅で目を覚まし、玄関先のポストを開けると一通の手紙が入っていた。
「手紙？」
差出人は不明だった。
不思議に思い、手紙を丁寧に開けると"明日人へ"と書かれた文字が見えた。
"明日人へ
何も言わずにごめんね。
どうしても向こうで済ませないといけない用事ができたので雷門中に帰ります。
大丈夫、お昼頃にはまた会えるわ。
きっと皆来てくれる。
それじゃあ雷門の部室で待ってます。
日暮A"
手紙を読み終えた明日人は、心の中で彼女に礼を言うと その手紙をポケットに入れて玄関の扉を開けた。
そしてその頃、Aはというと･･･。
「日暮A。報告をお願いします。」
朝だと言うのに薄暗く、どこか威圧感のある部屋に三人。男の隣にいる秘書の言葉が広い空間に響き渡る。Aと言われた本人は、震える手を見られぬ様に後ろで隠す。
「伊那国の、雷門中編入手続きは終わりました。途中、妨害が入りかけましたが恐らく上手く行きます。アレスの予想通り順調に動いています。」
頭を下げ、先日あった出来事を偽ることなく報告をする。
「ほう、その妨害とは？」
リズミカルに人差し指で机を叩く男の仕草一つ一つにおどおどしてしまう。
「稲国中の校長がサッカー部を廃部にしようとしていまして･･･。私もそれは知らされておらず･･･。」
「余計なことを。」
苛立ちがこっちにまで伝わってくるのが分かった。頭を下げたままでも冷や汗が頬に伝うのを感じる。
「来週の試合、対戦相手は星章学園だ。」
「予想するまでもない結果に終わるでしょう。」
伊那国の実力を分析済みの秘書はあまり彼らに興味を持っていないようだ。心の中でAは安堵する。
「日暮。選手のデータを後日改めて星章学園に回せ。」
「了解致しました。」
男から指示をされ、一歩下がると深々と頭を下げてAはその場を後にする。
「所詮は田舎者の集まり。気にする事はありませんわ。」
すれ違い様、秘書に耳打ちされた言葉など聞こえぬ振りをして彼女は社長室の扉を閉めた。
「･･･はぁ。」
部屋から出た途端、緊張感が解けてその場に座り込む。強化委員監視役としても、やはり気が滅入る部分がある。
「アレスの天秤、か。」
自分の手を上にあげ、それをじっと見つめて呟いた言葉。同時に腕時計にも目が入り、雷門へ向かう時間を告げていた。
Aは立ち上がると雷門へと足を運んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 693人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小雪
| 作成日時：2018年4月6日 17時
