電話 ページ12
。
踊り場の階段についたAは辺りに誰もいないことを確認すると、とある人物に電話を掛ける。
「もしもし。」
ワンコールで繋がり、先に声をかけた。
【やっと掛けてきやがったか。】
「あのねぇ、あんたと違って私は忙しいの！」
そう言うと、電話の主は「そうかよ」と、ぶっきらぼうに言う。相変わらず態度が悪いと感じるA。
「で、何か用？」
【雷門のことだ。お前が率いるチームだと鬼道から聞いた。】
もうそんな話が出回っているのかとAは深いため息をついた。
「そうよ。あんたの対戦相手。」
【来週の試合、俺も出る。】
暫しの間。
「はぁ！？」
【声がでけぇんだよクソ女！！】
つい大きな声を出してしまい、電話主の耳元にまでキーンと鳴り響き怒られてしまう。
「あんた、この間の試合出たばかりじゃない！」
【だからなんだよ。】
三試合に一度しかでない彼が、どういう風の吹き回しか知らないが連続して出るというのだ。
【試合に出ようか出まいが、俺の勝手だろうがよ。】
「そうは言うけどね、手続きも私がやるんだからあんたの勝手で迷惑するの私なの、わかる？」
自分勝手な灰崎に半ギレになりながらも、見えない電話主を睨みつけるA。
【それが強化委員監視役の仕事だろーが。】
「(こんのガキ･･･)」
その立場を利用して、さも当然のように押し付ける彼に、額に青筋が入る。
【用件はそれだけだ、切る。】
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ！」
電話を一方的に切られ、無機質になる音。
Aはスマホを持つ手を震わせると大きく息を吸い･･･。
「あー、もう腹立つー！！バカーー！！」
「うわぁあ！」
大きな声で叫んだ。
すると、彼女を探しに来ていた帽子をかぶった小柄な"日和正勝"が、その声に驚き 尻餅をついて倒れる。
「い、いきなり大きな声出さないでくださいよ！」
「ご、ごめん。」
立ち上がろうとする日和に手を貸し、謝罪するA
。
「それより、明日人といたんじゃないの？」
Aが不思議そうに問いかければ、彼は「そうだった！」と思い出して彼女の腕を引っ張ると廊下を走っていく。
「ちょっと何事！？」
「いいから来てください！大変なんです！」
事情もわからずただついていかされ、たまたま窓の外を覗いてみると、目に入ったのは 明日人と小太りな少年が言い合っている光景だった。
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年4月6日 17時
