よん ページ6
.
コンコン。ガチャー。
迷いなく、躊躇なく開かれる扉。返事を貰うことを想定していない速度で彼らはドアを開け、どこか機嫌が良さそうに奏斗くんと、それからもう一人？の名前を呼んだ。
「お待たせー！書類整理終わった〜？」
「まだー！」
「あと何分かかりそう？」
「……十、五分…？」
ズカズカと部屋に入っていく二人の後ろにちょうど隠れるようにいるため室内に誰がどこにいるのか分からない私。
声と、二人の顔の向きからして
元気よく声をかける渡会先輩と、それに元気よく答える奏斗くん。単純な疑問を飛ばしたセラフ先輩に、同じように疑問で答えた初めましての人。
一番声が低くて、入学式の時聞いた事のある声だったから恐らく副会長さんなんだろう。黒髪で、眼鏡をかけていたとても真面目そうな人。
その人も奏斗くんと仲良かったのかな、と顔を先輩の背中からひょっこりと出せば副会長さんとバッチリ目が合って。
青と、紫だろうか。鮮やかな色彩がオーロラのように混じりあっていて、とても綺麗だと思った。それと同時に、セラフ先輩と正反対な印象を受け取った。
副会長さんは私と目が合うと驚いたようにぱちぱちと瞬いて、どこか納得したように軽く頷く。
「奏斗の妹さん？」
「っ！違います！」
「えっ。」
「わた、」
「Aちゃーん！！！！」
「へぶっ、」
紡がれた言葉は予想通りのもので、私は反射的に否定する。すると副会長さんはまた驚いて大きく目を見開いた。
私は妹じゃなくて従姉妹です、と言おうとすると、私の"わた"と言ったところでいつの間にか近付いてきてた奏斗くんに突撃された。痛い。すっごく痛い。
なんとかバランスを崩さずに衝撃に耐えられたものの、ぎゅうぎゅうと抱きしめられる苦しさと、ぐりぐりと擦り寄られてくすぐったいどころか少し痛いくらいのそれに思わず顔を歪ませる。
奏斗くん、なんか半泣きっぽいし、一体どうしたの？
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 824人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆずもち@(プロフ) - 夢宮さん» これくらいだなんて言わないでください！夢宮さんの作品からいつも元気を貰っているのでどうお礼を申し上げたら……！応援ありがとうございます！夢宮さんも更新頑張ってください！✨️✨ (2023年4月3日 23時) (
レス) id: 893f10864f (このIDを非表示/違反報告)
ゆずもち@(プロフ) - 夢宮さん» わ、夢宮さん！コメントありがとうございますちょっとあの凄くとっても驚いているのですがファン！？ファン！？！？そうだったんですか！？！？嬉しすぎます！！夢宮さんの作品全て読ませて頂いているのでまさかそんな言葉を頂けるとは思ってもみませんでした…！ (2023年4月3日 22時) (レス) id: 893f10864f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
