じゅう ページ13
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「…え、曲名知らない？」
「はい。その…、昔、奏斗くんと遊んでいた時にたまたま聞こえたもの、なので。」
「ん〜…、それ、歌える？」
「…！はい！」
歌詞も何も無い、昔の作曲家が作ったであろう曲をふんふんと口ずさむ。
そう、先輩が言った通り、私はこの曲の名前を知らない。ただ昔に聞いた事あるだけの、私が勝手に覚えているだけの曲。しかも子供の頃にほんの少し聞こえただけ。
なんでそんな曲を、と聞かれてしまえば自分でもよく分からない。バイオリンだったからかもしれないし、もしかしてピアノだった可能性もある。
けれどどうしてか思い出してしまった。あのどこか寂しくて悲しいようなあの音色が思い出してしまったんだ。
目を瞑って、記憶の通りに歌えるようにひたすら思い返す。間違っていたら申し訳ないと思いつつ、時間を無駄にしてしまわないよう、音痴じゃないことに安堵しながら音を紡ぐ。
「………、」
「〜〜……って感じですね！」
「……、」
「…先輩？」
「それ、」
「？」
「どこで聞いたの。」
やけに静かな声だと思った。先程までは私の反応を楽しむかのような弾んでいる声色だったのに、一切の揺らぎがない水面みたいに感情の振れが全く無いと感じた。
奏斗くんが私に耳を塞いで、と言う時と同じな気がする。嫌だけど、しぶしぶ…みたいなあれ。
なんで先輩がそんな声になるんだろう、と不思議に思いながらも聞いた場所をきちんと答える。夕焼けが怖いほどに綺麗な時間に聞こえたから、ここだけははっきりと覚えていた。
すると先輩は、一瞬だけ大きく目を見開いた後、視線を真下に逸らした。唇をぐっと噛んで何か言おうとしていたのに、それを言わんと必死に飲み込んでいるようだった。
一体どうしたんだろう。もしかして先輩の苦手な曲だったりするのだろうか。
「…そっか。」
「……？」
「そういう、ことだったんだ。」
「あの、」
「…なんでもない。弾こっか。俺これ結構得意なんだよね。」
子供の頃よく弾いてたんだ、とバイオリンを構える姿は先程の面影は全くない。何もありませんでした、とでも言わんばかりの振る舞いだ。…けれど。
明らかに踏み込んで欲しくない、という態度に、どうしても気になってしまうのは仕方の無い事だと思って欲しい。
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ゆずもち@(プロフ) - 夢宮さん» これくらいだなんて言わないでください！夢宮さんの作品からいつも元気を貰っているのでどうお礼を申し上げたら……！応援ありがとうございます！夢宮さんも更新頑張ってください！✨️✨ (2023年4月3日 23時) (
レス) id: 893f10864f (このIDを非表示/違反報告)
ゆずもち@(プロフ) - 夢宮さん» わ、夢宮さん！コメントありがとうございますちょっとあの凄くとっても驚いているのですがファン！？ファン！？！？そうだったんですか！？！？嬉しすぎます！！夢宮さんの作品全て読ませて頂いているのでまさかそんな言葉を頂けるとは思ってもみませんでした…！ (2023年4月3日 22時) (レス) id: 893f10864f (このIDを非表示/違反報告)
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