【男主】魚 と 水 と 僕 【水槽には５匹】

バスケ1【水溜りボンド：カンタ】（腐ィクション） ページ45

Aside




今日は久々にカンタを遊びに誘ってみた

トミーとはよく野球をしたりするけれど
カンタとはあまり２人きりというのはなかったから少し新鮮だ


ダンダンとボールをつくリズミカルな音


カンタ「よっ」


軽く投げられたそれは、リングに当たることもなく
すんなりとネットに受け止められる

パサッと反動にネットが跳ねた


A「ナイスシュート」

カンタ「いやいや、A敵でしょ」

A「あぁ、ごめん。見とれてた」

カンタ「なんでだよｗ」

A「だってカンタのシュートフォーム綺麗なんだもん」

カンタ「普通だろ。いや、普通よりかなり崩れてると思うぞ」

A「いやいや、綺麗だよ」

カンタ「なんでそんな褒めるの？なんか怖いわー」


笑いながらボールをパスしてくる

それを一旦返すとまた送ってきて

今度は俺が攻める番だ


A「っと･･･そうだった」


普段やってるシルクとは違うディフェンスの方法にすこし戸惑う

遠巻きに隙を狙うシルクとは違って
ガツガツと取りに来るカンタ

間近に迫る顔は、いつものおちゃらけた顔ではなくて

なんというか･･･すごく、男らしかった


A「・・・ボールより俺のことみてほしいな」


ずっとボールを目で追っているカンタ

バスケをしているんだから、それは当たり前のことなんだけれど

それでもなぜかそんな思いが口を突いて出てきた


カンタ「え？」


小さく呟いたはずのその言葉は

体育館という状況下で、思いのほか大きく響いたようで

ドリブルの音に混じって届いてしまったその声に
忠実にカンタがこっちを見た

額に浮かぶ微かな汗もみえるほどに間近に迫った顔

尚も続いてるはずのドリブルの音が遠くに聞こえた気がした

引き込まれたような静寂の中しばらく視線を交わらせる


カンタ「・・・ふふっ」


真剣そうな、普段とは違う男らしい表情から
一変してまた無邪気な笑顔に変わった


ﾊﾟｼｯ

A「あっ」


空中で軽く叩かれたボールは自分の手に戻ることなく
そのままころころとコートの端に転がっていった


カンタ「なにボーっとしてるの？やる気ないでしょ」

A「あ、あるよ！でも、カンタがこっち見てくるから・・・」

カンタ「Aが見てって言ったんでしょ」

A「そうだけど・・・あーもー･･･カンタとやると調子狂うなぁ･･･シルクとやりたい」

ｸﾞｲｯ


途端に体が傾いた

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