安田章大 ページ49
安田side
また、暗い顔してる
Aちゃんはたまに、深過ぎて吸い込まれそうなほど暗い目をしてるときがある
安「A」
A「あ…見たなー」
また、寂しそうに笑う
そうやって、隠そうとする
安「こっちおいで」
A「・・・」
安「えぇから」
言い訳を探すように一度逸らされた目に映りこむように手を差し出すと
渋々ながらこっちに近づいてきてくれた
A「っ･･････」
隣に座ったAに、覆いかぶさるように抱きしめると
体が一瞬ビクリと震えた
安「なんかあった？怖い夢でもみた？」
ほんまは自分が話したくなるまでそっとしといてあげたいけど
そんなんじゃAはいつまで経っても話してくれへんから、心を鬼にして聞いてみる
A「甘やかさないで･･･」
ちょっと震えた声で、そう言った。
優しく背中をさすれば、どんどん震えははっきりして、胸元から小さく呻く声が聞こえる
A「知らなければ、与えられなければ・・・失うこともないのに」
怖い。そう言って僕の背中に腕を回してきた。でも、とても躊躇しながら･･･
A「現実ではみんなに頼れるのに、夢には誰もいない
昔はこんなに怖くなかった･･･みんなに甘えすぎたのかな」
甘えてなんかいない。ただ、当たり前にすごしてるだけ。それも人一倍周りに頼らずに。
それでも、Aちゃんのいる世界では、当たり前すら許してくれない
A「いないのが苦しいなんて･･･最初からいなければ、そんなこと思わなかったのに」
言い終わってから、ピクリと背中の手が動いた
そこから徐々に力が弱くなって、離れていこうとする
A「ごめっ・・・こんなこと、言うつもりじゃ…」
それ以上続けさせない。強く、強く抱きしめて、言葉を止める。
これ以上苦しめたくない。謝らないで…
Aちゃんは悪くない。この世界はなんでこんなに、Aちゃんを苦しめるの
安「隠さないで、怖がらないで。言いたいこと全部言っていいよ」
A「そこに、居てくれるだけでいいのに･･･」
安「たまには年上にかっこつけさせてよ。話も聞いてあげられないお兄ちゃんなんて嫌」
A「・・・言っても、離れない？」
安「離れない。離さない・・・ずっと傍にいるから」
Aちゃんは臆病すぎる
僕らのこと、守ろうとして傷ついて
僕らを傷つけるぐらいならって、１人で背負い込んで
小さな背中に、そんなにたくさんの苦しみを背負わないで
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作者名：∞山神風∞ | 作成日時：2017年1月20日 1時
