緑と赤の天才さん5

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「一手目」





秀吉が手にした扇子を振り下ろした





「攻め方は八王子街頭近くの西谷駅へ」

「キャメル、西谷駅に行け」






赤井が伝えると、キャメルの「え？」という声が聞こえてきた





「そうすると犯人から離れてしまいますが」

「いいから西谷駅だ」





赤井の有無を言わさない口調にキャメルは「はい！」と答えた






「二手目」






そういうと秀吉はAをチラリと見やった
Aは後部座席で靴を脱ぎ、体育座りをすると赤く染まった左目を手で覆いながら井上治という人物を思い浮かべた





『彼の持っているのは、私も知ってる感情だ』





そうつぶやくとはっきりとした目で前を見た





『敵方は１０９号線を進んでそのまま梅の木に』

「、、、いました！」





少ししてキャメル？さんの声が聞こえる、が逃がしたみたいだ





「すぐ負います！」

「三手目、攻め方は環状２号線へ」

「環状２号線だキャメル」






赤井の声にキャメルはまたも「え？」と声を上げた
環状2号線はこの先を進んだところで交わる道路で、犯人の車が進む方向とは逆方向だ





「しかし、せっかく犯人と合流したのに」

『うっさい！つべこべ言わずさっさと行って！』

「む、向かいます！(誰？)」






「、、、犯人の車、完全に見失いました」





車載ホルダーにセットされたスマホから、キャメルの落胆した声が聞こえる。だが助手席の秀吉は涼しい顔をしていた





「いいえ、ここにいます」





その秀吉の言葉は本当だったらしく、驚いたキャメルの声が聞こえてきた






『、、、四手目、敵方、車線変更し側道へ』

「しまった！

駄目です、追跡できません、失敗です！」





どうやらAのいったことがそのまま当たったようでキャメルの声が聞こえた、が、失敗なわけはなかった





「いいえ、新湊浜陸橋下にて王手！」





運転席の赤井が間髪入れずに叫ぶ





「ジョディ！」

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