モスキート音は聴こえない (ページ4)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:31,597 hit

。ページ4

.

「おい！うちの息子を悲しませてるのはお前らだな？

俺が許さん！」

「ふっふっふ、ママが来たか、やれるもんならやってみろ！」

「くらえ！なにわウルトラビームっ！ビビビビビビ！！」

「ぐっ、つ、強い…！」

『…ねえ、何始まったのコレ。』

誰からともなく寸劇が始まってふざけだす(世界に入り込む)3人。

さすがドラマ班だって？いやいやふざけてるだけだからこの人たち。

ソファにいる俺を置いて3人で始めちゃってるし。

…3人揃うと小学校かもしれない、ここは。

あ、佐久間くん倒れた。

「ぐはぁ…ま、参った…！」

「はっはっは見たか！今度から息子をいじめたりしたらこの俺、フカザーワが許しませんからね！」

『フカザーワって…』

ダサいし何のひねりもないじゃん。さすがふっかさん。

佐久間くんと康二くんに関してはさっきまで必死に話してたシンメの話は頭の中からすっぽり抜けちゃったんだろうなあ。

全身全霊でキャラに入り込んでたし、今なんかもう肩くんで歌うたってるよ。なんなのあの2人。

「ラーウ、おはよ。」

『…フカザーワさんおはよお。』

「はは、なんだそれ。

はぁ〜ガキの相手は疲れるわぁ。」

…自分で名乗ってた名前なんだけど。

そんなこと気にしてもないふっかさんがドカッと俺の隣に座ってシャツのボタンを2つ開ける姿にドキっとする。

…もうやだ。ドキってしないで自分。

『…俺もガキだと思うけど。未成年だし。』

ふっかさんに届くか届かないかの声でそう言うと、きょとんとさせたふっかさんがその後に笑って俺の頭を撫でる。

「そだな。でもラウは未成年で子どもだけどガキではないでしょ？」

あいつらと比べると、と付け足したふっかさんが指さした先で、寝転びながら某ネコ型ロボットのアニメキャラの真似してまた遊んでる佐久間くんと康二くんがいて。

それを誰よりも優しい目で見てるふっかさんの横顔が、どうしようもなく大人に見えてしまう。

大人に見えて、ときめいちゃうんだよなあ。

『…ガキではないけど、子どもなの？俺。』

少しだけ勇気を出して、すぐ隣にある手を握ってそう聞いてみる。

まっすぐ見つめ返してくれるふっかさんの瞳はキレイな黒色で、それでいて何を考えているのか分かんない表情で笑う。

「…子どもでしょ、17歳。」

28歳、最年長。

その隣までの道のりは、果てしなく遠そうだ。