モスキート音は聴こえない (ページ3)

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「でもたくまくん最近いわさくとかファンの人に言われてる時まんざらでもなさそうやん！それ浮気やで！」

「う…！そ、そんなの康二だってなべこじめめこじ言われてるんだからあおいこじゃん！

浮気でいったら康二の方がたいがいだよ！？」

「…む～！でもあべこじも今きてんの～！」

『あーはいはい、なるほどそういうことね。』

喧嘩ととるにはあまりにも可愛すぎる口論を間で聞いていて、事の内容がしっかり理解できた。

要するに、今SnowMan内でのコンビの話をしていて、阿部ちゃんにはどちらのコンビが相応しいかを議論している、と。

…議論って偉そうに言うには2人とも感情のままに興奮してるだけなんだよなあ…。

28歳と26歳の大の大人に挟まれて冷静な俺、17歳の未成年。

両側から腕を引っ張っられたり肩を揺らされてその興奮が俺にまで伝わる感じ、今日も2人は元気だなぁとやけに落ち着いているんだけど。

『うーん、でも俺的にはやっぱりあべさくなんだよな～。』

「なっ！？」

「だよね！？だよねぇ！ラウ～～お前分かってんなあ！」

「う、裏切り者～！成敗してくれるう～！」

左側ではガッツポーズしてから俺の頭を撫でまくる28歳、

右側は不機嫌そうに手で俺の腹を刺そうとする26歳。

なにここ、中学校？

『でも佐久間くんの言う通りだよ、康二くんにはめめがいるじゃん。』

「…そやけどお。」

『翔太くんには舘さんがいるし。

はぁ～いいよね～シンメってやつ？羨ましい。』

「そんなんラウだって、…」

『俺のシンメって誰になるの？

もうみんな残ってないじゃん！結構寂しいよ？俺。』

半分冗談、半分本音。

9人の中でも圧倒的センターなんて言われるのは有難いけど、気付いたら俺にはシンメという存在がいなくて。

身長的にはめめ？だけどめめこじには勝てないしさ。

踊る時もバラエティー番組でも取材でも、シンメの話になると困っちゃうの。

…たまに、ほんのすこーしだけ思っちゃうよね。みんなにはシンメがいていいなぁって。

寂しいよ。だって俺まだ17歳だもん。

…うわ、ほんとにセンチメンタルになってきた…

「なーに言ってんの。

ラウには俺がいるじゃん。」

俺の後ろからふわっと誰かに抱きしめられる。

ツンとするはっきりした香水の匂いだけで誰なのか分かっちゃう。

瞬間に俺の胸が高鳴ってしまうのもしょうがない。

『…ふっかさん。』