こーじくんとたこ焼きとわたし (ページ3)

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焼ページ3

向井康二高校ニ年生春は嫌い

「あー、また誰か泣いてるー」

春になると途端に屋上に人が現れ始める。
しかも大体泣いている。

あとみんな帰り際にたこ焼きやってる僕を怪訝な目で見る。いや、屋上って何してもいい場所だし！知らないけど！

そんな中、一人だけ話しかけてきた女の子がいた。

「たこ焼き、美味しい？」
「お、美味しいよ？」
「食べていい？」
「あ、どぞ…」

1番上手く焼けたたこ焼きを差し出すと、
彼女は大きな口を開けて、中に放り込んだ。

「…これ、中はたこじゃないよね？」
「うん！イカだよー。今日はイカ焼きだからね」
「イカ…イカ…うわあああああああああん」
「えぇなんでぇ！？」

今まで見てきた中で1番の泣き声を出しながら彼女は泣いた。

イカになんの恨みがあるかはいまだに分からないが、この泣きっぷりを見るに恋人をイカに殺されたとしか考えられない。

「イカが好きな女が信じられないっていうから、イカ大好きなのに、嫌いなフリしてたのに…あいつの浮気女イカ猟師の娘なのおおお」
「そ、それは…ご愁傷様…」

なんだそれえ！変なの！と言って大笑いしたかったけど、流石にここまで泣かれると、上がった口角も下がってしまう…

「と、とりあえず、食べな…」

君は僕のこと変なやつ、っていうけど、第一印象は君の方がもっと変だと思うけどな。