きゅう ページ10
( Koshiro )
「海根、後で教材運んどいてくれ。あぁ…1人じゃ大変だろうから、誰かに手伝ってもらえ」
日直が海根さんであることを確認すると、面倒くさそうにそう言い捨て、足早に出ていく担任。
酷なことを言うものだな、と思いながらAちゃんと話す火賀のところへ行く。
「火賀、部活少し遅れて行くから部長に言っておいてくれないか」
「おお、どした？」
「海根さんを手伝ってくる」
「はあ？今日練習試合やで？他のやつに任せたらええやん」
「あ、わたし代わりに行くよ？しろちゃんは部活行って」
「ううん、大丈夫。ちょっと聞きたいこともあるし」
「お前…早く来いよ」
「ありがとう」
こうなった俺に何を言っても無駄だとわかっているのか、呆れたように言う火賀がAちゃんやそれについて行ったあゆみちゃんたちを連れて部活へと向かったのを見届けると、海根さんが向かった空き教室へと足を進める。
中を覗くと、たくさんの教材の前で棒立ちになる海根さんがいた。
「海根さん？手伝うよ。1人じゃ大変でしょ」
「しろちゃん…」
「そういえば、今朝はどうしたの？…何かあったんだよね」
なぜ彼女が俺のことをAちゃんとあゆみちゃんしか呼ばない呼び方で呼ぶのかはわからない。
朝、あゆみちゃんに向かって"入れ替わった"と詰め寄ったのも。
だけど無駄に刺激したり、深く聞きすぎるのは良くない。
自分にできる最大限の当たり障りない質問を投げかけてみたが、返答はなかった。
もう一度呼びかけてみると、彼女の目は泳いでいて、涙が溜まっているようにも見えた。
女子同士のいざこざなら、俺が口を挟んではいけないことだったのかもしれない。
慌てて話題を変え、教材を持って教室を出ようとしたときだった。
「待って！
………あたし、小日向あゆみなの」
「…え？」
「嘘じゃないよ。
理由はわからないけど、昨日のデートの前に海根さんがビルから飛び降りて、
そしたら海根さんの体に私の心が入っちゃったみたいで、」
「ちょっと、何言ってるか分からないんだけど…」
「本当なの、信じて！
思い出も全部言えるし、告白してくれたときの言葉だって全部覚えてる！
…放課後の教室に呼び出してくれて、あたしのことずっと好きだったって言ってくれたよね！？」
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ふぅ - 続き楽しみにしてます！ (2021年5月15日 14時) (
レス) id: e27c2c145d (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 凄く面白いので続きが読みたいです！更新待ってます！！ (2021年4月5日 18時) (レス) id: f19b1505d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - コメント失礼します！とても繊細なストーリー好きすぎます…！！またお時間に余裕がありましたら、更新して頂けると嬉しいです！！大好きな作品です！ (2021年2月1日 6時) (レス) id: fd1c6c399d (このIDを非表示/違反報告)
オムライス(プロフ) - 更新頑張ってください！ (2021年1月6日 14時) (レス) id: 3df1040212 (このIDを非表示/違反報告)
冬葉(プロフ) - ptfさん» 返信ありがとうございます！楽しみに待たせていたただきますね！ (2020年6月29日 17時) (レス) id: 8304f0e3e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ptf | 作成日時：2019年7月22日 23時
