じゅうはち ページ19
( Now - Ayumi )
「あ、それは…違うの、」
「なんかあったん？」
「え、と…ちょっと、呼び出されちゃって」
「ふーん。ま、なんでもいいけどさあ、あいつ体弱いから、あんまり無理させたらんとって」
「…ごめん」
「ん」
自分から聞いたくせに。
あたしの弁解には心底興味無さそうに、だけど釘を刺すようにペンキの蓋をいじりながら話す彼の姿に若干の気味悪さと既視感を覚える。
そうだ、前に火賀くんが風邪をひいて学校を休んだとき、クラスの子が火賀くんの机の上に広がったプリントを整理しようと手をかけたときだった。
優しい笑顔はいつもと変わらないはずなのに、恐ろしく光のない目でやめて、とひとこと呟いてプリントをまとめ始めたAの姿に、今の火賀くんはひどく似ている。
「あ、黄色のペンキないやん。俺あっちの看板組み立てとくから買い出し頼んできてもらっていい？」
「…うん、わかった」
海根さんであるあたしのことを良く思っていないのか、Aが絡んでいるからなのか。
どちらかはわからないけれど、いつも笑顔の火賀くんのこんな表情を見たのは初めてだった。
( Shunpei )
何かが引っかかる。
俺の発言に暗く悲しそうな目をして謝る彼女は、以前の長い前髪から恨めしそうな目を覗かせていた海根然子とは違って見えた。
そもそも彼女はAのことを名前で呼んでいたのか、Aの名前を出して表情がほころぶ仲だったのか。
Aと話している限りそんなに親しい様子ではなかったし、何かあったとしてもAがちょっとしたことで手を差し伸べたくらいだろう。
「あっ、ちょっと待って！」
確かな違和感を抱えながらも彼女が立ち上がるのを横目に板をガムテープで組み立てようとすると、残りがかなり少ないことに気づく。
慌てて声をかけると、自分の目を疑った。
「火賀くん？」
「…おう、ガムテープも頼む」
「わかった」
海根然子が、あゆみに？
まさか、絶対に重なることのないであろう2人がなぜなのか。
今朝のAと公史郎の冷たい視線を思い出して、本気でゲームのやりすぎで目がおかしくなってしまったのかという考えに着地しかけたが、彼女の背中を見ているとなぜかそんな単純な理由ではない気がしてならなかった。
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ふぅ - 続き楽しみにしてます！ (2021年5月15日 14時) (
レス) id: e27c2c145d (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 凄く面白いので続きが読みたいです！更新待ってます！！ (2021年4月5日 18時) (レス) id: f19b1505d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - コメント失礼します！とても繊細なストーリー好きすぎます…！！またお時間に余裕がありましたら、更新して頂けると嬉しいです！！大好きな作品です！ (2021年2月1日 6時) (レス) id: fd1c6c399d (このIDを非表示/違反報告)
オムライス(プロフ) - 更新頑張ってください！ (2021年1月6日 14時) (レス) id: 3df1040212 (このIDを非表示/違反報告)
冬葉(プロフ) - ptfさん» 返信ありがとうございます！楽しみに待たせていたただきますね！ (2020年6月29日 17時) (レス) id: 8304f0e3e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ptf | 作成日時：2019年7月22日 23時
