にじゅうなな ページ28
( Next Day - You )
「しろちゃんとA、とっくに気づいてるよ。あたし達が入れ替わったこと」
嘲笑するような声色で話す海根さんは、きっと今楽しくてしょうがないんだろうなあなんて他人事のように壁にもたれてぼうっと考える。
"海根然子が入ってる小日向あゆみのままでもいい"
"しろちゃんはもうあたしのものなの"
拾った言葉とさっきしろちゃんから届いたLINEとを合わせて考えると、しろちゃんのしようとしていることはひとつしか見えない。
"Aちゃん、ビンゴだ"
"そっか。しろちゃんはそのまま海根さんと付き合うの?"
"ああ、そうするつもり"
"何かあったら言って"
しろちゃんとのトーク画面をするっと撫でて、頑張ってなんて無責任なことを思う。
「っ、そうだ、Aは!?」
「ふふ、Aはあんたにあげる」
「は…?」
「大切な人を一気に2人も奪ったら可哀想でしょ?
しかも火賀はあんたの肩持ってるし、Aもどうせそっちに行くだろうから。
あたしには、もうしろちゃんがいればいい」
( Zenko )
「これで、いいんだよね」
「うーん、あの子結構しぶといからね。まあわたしも向こうでいろいろ言うから」
昨日話した作戦通り、火賀を取り戻すためにAを名目上あちらに譲ると小日向あゆみに告げた。
A曰く、昨日の帰りも火賀は小日向あゆみにばかり構っていたらしい。
悲しそうに眉を下げながらそう話すAを見ていたたまれなくなった。
ほらね、小日向あゆみ。あんたはやっぱりもっと苦しんだほうがいいんだよ。
「そうだ、暗所恐怖症って本当なの?」
「う、うん、しろちゃんが言うには…」
「カマ、かけてたとかじゃなくて?」
考えたことがなかった。
知らなかったなあ、なんてぽやぽや言うくせに、すぐに目の色を変えて鋭く指摘する彼女は絶対に敵には回したくない。
「わからないけど、確かに証拠はない…かも、」
「あゆみ、おばけだったよね?わたしにいい考えがあるの」
いたずらを思いついた子どもみたいに無邪気な顔をしてなかなかに惨いことを言うものだから、少し躊躇ってしまう。
だけど、できるよね?とぽんと肩を叩かれてしまえば、その笑顔に誘われるように頷くしかなかった。
「ふふ、かわいい。お人形さんみたい」
こんなときでもやっぱり"海根さん"よりも"あゆみ"のほうがいい、なんて事をぼけっと考えてしまっているあたしは正真正銘のあやつり人形のように思えた。
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ふぅ - 続き楽しみにしてます! (2021年5月15日 14時) (レス) id: e27c2c145d (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 凄く面白いので続きが読みたいです!更新待ってます!! (2021年4月5日 18時) (レス) id: f19b1505d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - コメント失礼します!とても繊細なストーリー好きすぎます…!!またお時間に余裕がありましたら、更新して頂けると嬉しいです!!大好きな作品です! (2021年2月1日 6時) (レス) id: fd1c6c399d (このIDを非表示/違反報告)
オムライス(プロフ) - 更新頑張ってください! (2021年1月6日 14時) (レス) id: 3df1040212 (このIDを非表示/違反報告)
冬葉(プロフ) - ptfさん» 返信ありがとうございます!楽しみに待たせていたただきますね! (2020年6月29日 17時) (レス) id: 8304f0e3e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ptf | 作成日時:2019年7月22日 23時