にじゅういち ページ22
( Zenko )
「あ、火賀!A大丈夫!?」
「おう、ちょっと体調悪かったみたいやわ」
「せっかくだからAにもおばけの衣装着てもらおうと思ったのに〜」
「残念やったな、爆睡中や」
「てか火賀やるなあ、キスとか!」
「うるさいわ、おら準備しろ」
30分ほどして一人で教室に戻ってきた火賀。
その表情はいつものあっけらかんとしたものに戻っていて、なんだか拍子抜けする。
Aはまだ目覚めていないようだからなんとも言えないものの、よく考えれば彼女が入れ替わりに気づく要素はないはずで、ほっと息をついた。
「あゆみ花作るの上手いね!」
「なんでそんなふわっとなるの?」
「…2人とも、ここ違うよ(笑)」
こんなに楽しく文化祭の準備に参加できたことなんて、今までに1度もない。
これからの行事は全てこんなふうに楽しめるのだと思うと、つくづく見た目の重要性を実感する。
2人に作り方のコツを教えようと身を乗り出すと、頭上から降ってきたのは火賀の声。
「なあ」
「…あたしたち?」
「どうしたの火賀」
「海根さんの避け方、お前ららしくないやろ」
「え…」
思っていたよりも大きな声が出たのか、教室は静まりかえる。
だけど、どうして火賀が"あたし"を気にするのか。
「自業自得」
「海根さん、ずっとあゆみに嫌がらせしてたの」
「嫌がらせ?」
「あゆみはこの性格だからあえては教えてくれないけど、海根さんには絶対近づきたくないって」
「Aにも言ってなかったみたいだから、火賀が知らないのも無理ないけどさあ。あゆみがそんなこと言うんだから、よっぽどのことでしょ」
2人が前に立って、あたしが前に吹き込んだ"嘘"を使って守ってくれる。
いや、あながち真実かもな、と俯きながら考えた。
小日向あゆみがいるせいで、あたしはいつも劣等感に塗れて暮らす羽目になっていた。
間接的な嫌がらせだ、間違ってなんかいない。
すると、"あたし"が教室に飛び込んでくる。
必死な顔しちゃって、気持ち悪い。
「ちょっと待って!誤解だよ、私何もしてない!」
「とぼけないでよ!」
「昨日だって付きまとってたじゃん」
「それは…」
「なによ、言いたいことがあるならはっきり言って!」
「でもほんと誤解なの!」
「あんたねえ…」
「りっちゃん、マリちゃん。あたしは大丈夫だから」
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ふぅ - 続き楽しみにしてます! (2021年5月15日 14時) (レス) id: e27c2c145d (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 凄く面白いので続きが読みたいです!更新待ってます!! (2021年4月5日 18時) (レス) id: f19b1505d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - コメント失礼します!とても繊細なストーリー好きすぎます…!!またお時間に余裕がありましたら、更新して頂けると嬉しいです!!大好きな作品です! (2021年2月1日 6時) (レス) id: fd1c6c399d (このIDを非表示/違反報告)
オムライス(プロフ) - 更新頑張ってください! (2021年1月6日 14時) (レス) id: 3df1040212 (このIDを非表示/違反報告)
冬葉(プロフ) - ptfさん» 返信ありがとうございます!楽しみに待たせていたただきますね! (2020年6月29日 17時) (レス) id: 8304f0e3e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ptf | 作成日時:2019年7月22日 23時