16 仮にも彼は有名人 ページ16
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「人多…なんか眠くなってきた。」
『いや………ぐ…っ、なんでよ…!』
私が歯を食いしばりながら真面目に巨人を運んであげていると、背中からそんな呑気な声が聞こえてきたものだから、つい食い気味につっこんでしまった。
いつの間にか自販機にはたどり着いていたらしい。
このナマケモノめ、か弱い女子が目的地に到着している事すら気づかないくらい夢中で白馬の王子様みたくここまで運んでやったんだ、私を盛大に崇めたまえよ。
『はーーー、疲れた…なんで私がこんな大男を運ばなきゃならないの、』
「なんだかんだ言って運んでくれるの、大分お人好しだよね。」
『え、何喧嘩売ってる?』
汗水垂らしてここまで運んであげた私に向かって開口一番に言うことがそれかい?凪くんいつ私に刺されてもおかしくないよ。
「めんどくさいけど、早くここから出たいからこの人だかりの中を割り込むしかないよね。」
『ええ、それはいくらなんでも無理なんじゃ…』
「たしかに、佐藤は無理そう。チビだもん。」
『………』
どうしよう。私の右手が震えてる。今すぐこいつを殴り飛ばしたいと叫んでいる。
だがしかし。ここは人が多過ぎる、こんな所で問題を起こしては後が面倒だ。大人しくしている他あるまい。
『……じゃあお願いしますよ、万年生意気寝太郎くん。』
「はーい。」
さらっと貶めたのに、それに気づいていないようなのが余計ムカついてくる。そんなことをしている私は幼稚なのだろうか。
___凪くんが一歩前に足を踏み出す。ずんずんと周りを気にせず、人だかりを割って入っていく様子は、私を感心させるのには十分だった。
凪くん、相変わらず堂々としてるなぁ…
近くにいた人が、うわ、こいつ割り込みやがった!なんて叫んでいる。しかしその相手の目を見た瞬間、固まるのは最早お決まり。
「うお、凪誠士郎じゃねぇか…!」
「え!?なんでここに…てかリアル凪くんまじかっこ良すぎる!」
「あの面倒くさがり屋代表の凪誠士郎が自らここまで出向くなんて…」
「きゃー!!凪くんこっち向いてー!!!」
「背高!足長!!顔ちっさ!!!何頭身あんだよ!」
散々な言われようである。大半は凪くんの見た目に対する評価ばかりであったが、それに負けないくらいの驚きの感想も混じっている。どんだけ人気なんだこの男。
私は後ろで達観するしかなかった。
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お芋うまうま。(プロフ) - みるくてぃさん» はい!ありがとうございます😊 (2023年1月19日 7時) (レス) id: 7a2529d498 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃ - 模試、頑張ってください!!待ち遠しいですが、それまでレモンティー飲みながら待ちたいと思います!! (2023年1月19日 2時) (レス) id: 3c2db5a967 (このIDを非表示/違反報告)
お芋うまうま。(プロフ) - みるくてぃさん» コメントありがとうございます!タイプだなんて嬉しすぎます 💞 土曜日の模試が終わり次第更新していきたいと思いますのでしばしお待ち頂けると幸いです、! (2023年1月18日 23時) (レス) id: 7a2529d498 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃ - めっちゃタイプです!!毎日更新楽しみにしてます!!! (2023年1月18日 1時) (レス) id: a0e318be61 (このIDを非表示/違反報告)
お芋うまうま。(プロフ) - ゆずりはさん» コメントありがとうございます!そんなこと言って頂けて私も幸福です、クラフトボスレモンティー…名前からして美味しそうですね、是非二人に飲ませてあげられるよう上手く誘惑してみようかな…(( (2023年1月14日 18時) (レス) id: 7a2529d498 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お芋うまうま。 | 作成日時:2023年1月10日 17時