2 凪誠士郎という男 ページ2
＊
自席に戻ってから私はゆっくりとレモンティーを堪能していた。
人混みの中に長く居たので目と脳が疲れた。取り敢えずある一点を集中して見つめる。窓から見える外のグラウンド。なにか特別なことを考えている訳では無い。まじでなんも考えてない。
そのとき。
ふと、視線を感じた。
『…』
辺りを見回す。窓から目を離し、首を右にやり、左にやり、後ろにやる。ふむ…おかしな点はなし。
そして前を見る。そして飛び跳ねた。
「…」
無言で目をかっぴらいてドクドクと音を立てる心臓を無理やり落ち着かせている私とは反対に、目の前に居るさっきの視線の犯人は、頭の上にはてなマークを浮かべた様子で此方を見ていた。
そしてさらっと視線は外され、私の持っているレモンティーへと移される。
そっか、凪誠士郎…この人私の前の席の住人だった。
「…」
『ちょ…あの……まじビックリした。』
「…」
『…えっと、なにか用？』
「…」
なんなんだこの人。何も喋らないじゃん。
周りから万年寝太郎だとか、天才だとか、イケメンだとか言われてる凪くんから謎の熱い視線を注がれて気にならないわけがないし、用があるなら教えて欲しい。
え、それとも視線で言いたいこと理解しろ的な？無理ゲーでしょ。
「それ」
『え？』
「そのレモンティー。」
…もしかして。
『…えっと、欲しいの？』
「うん。ちょーだい。」
なんと。もしかしてこの人、レモンティーの良さを理解している…？
『いいけど…あ、でも私もう口つけちゃった、』
「別に良いよ。そんな事いちいち気にしてたらめんどくさいし。」
『そう…』
今どきの子はそういうの気にしないのか。友だちならまだ分かるけど別にそこまで親しくもない異性の飲みかけって何気に一番抵抗があるものじゃないのか。
新たな文化の発見に少し感銘を受けていると、凪くんが早く、と催促する。
多少気にはなったが、相手が気にしてもないのに私だけ変に動揺しているのも何だか不自然なので私はその提案を受け入れることにした。
＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 990人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お芋うまうま。(プロフ) - みるくてぃさん» はい！ありがとうございます😊 (2023年1月19日 7時) (
レス) id: 7a2529d498 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃ - 模試、頑張ってください！！待ち遠しいですが、それまでレモンティー飲みながら待ちたいと思います！！ (2023年1月19日 2時) (レス) id: 3c2db5a967 (このIDを非表示/違反報告)
お芋うまうま。(プロフ) - みるくてぃさん» コメントありがとうございます！タイプだなんて嬉しすぎます 💞 土曜日の模試が終わり次第更新していきたいと思いますのでしばしお待ち頂けると幸いです、！ (2023年1月18日 23時) (レス) id: 7a2529d498 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃ - めっちゃタイプです！！毎日更新楽しみにしてます！！！ (2023年1月18日 1時) (レス) id: a0e318be61 (このIDを非表示/違反報告)
お芋うまうま。(プロフ) - ゆずりはさん» コメントありがとうございます！そんなこと言って頂けて私も幸福です、クラフトボスレモンティー…名前からして美味しそうですね、是非二人に飲ませてあげられるよう上手く誘惑してみようかな…(( (2023年1月14日 18時) (レス) id: 7a2529d498 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お芋うまうま。 | 作成日時：2023年1月10日 17時
