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Melody37* ページ10
あれから数日。
Aの姿を全く見ていない。
音楽室には来ないし、学年が違うから校内ですれ違うこともない。
居ない、って分かってる。
来ない、って分かってる。
でも、
俺の足は自然とそこに向かってしまう。
「 はぁ…… 」
譜面台に楽譜を広げる。
弾けなくなってしまったこの曲。
捨てることも出来ず、俺の手元に残っている。
題名は書いていない。
記号も一つだけ。
「 はぁ…… 」
再び溜息を零して、俺は包帯の巻かれた左手首を見る。
ピアノが弾けない。
人生で初めての経験。
弾かないことはあっても、弾けなくなることは一度もなかった。
ポーン、
鍵盤を右手で撫でる。
誰もいない音楽室。
「 A…… 」
会いたい。
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作者名：風怜(Ruru) | 作成日時：2011年12月23日 20時
