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Story43 ページ8
俺の頭を駆け巡るのは
街灯の下、綺麗な涙を流した男。
“…Aはもう…――”
あの言葉の続きを俺は聞いてしまったから。
ただ涙を流す彼を
何故だか他人事のように思えなくて。
視界の隅でいつかの林檎が悲しげに
微かな甘酸っぱい香りを漂わせていた。
・
・
・
・
沈黙が訪れてほんの一分も経っていない時間が
とても長い時間のように思える。
だんだんと、病室に差し込む光がオレンジ色に変わっていく。
冬は昼の時間が短い。
部屋の電気をつけないでいるから、いつか闇に紛れるのも時間の問題。
だけど、俺も。Aも。
電気をつけようなんていう考えは持ち合わせていなかった。
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作者名：Ruru | 作成日時：2011年7月29日 16時
