―心から君を愛したい 2nd―【神童拓人】 (ページ32)

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Story67 ページ32

この人、俺が見えるのか…。

目が合うと男性は優しく微笑んだ。

「あの、Aさんとは… 」

天使の俺が、そんな事を聞くのもおかしな話だ。

主治医、とか。

「 Aの、父親です。この病院の院長もしております」

返ってきた答えは意外な言葉で、でも妙に納得してしまった。

笑い方とか、優しい雰囲気がそっくりだ。

「最近のAはなんだか明るくてね、天使さんのおかげでしたか」

Aのお父さんは深々と頭を下げる。

「いえ、そんな…、俺は何も… 」

整えられた器具を眺め、その瞳を伏せた。

「 …Aは、あと何日ですか…？」

「 ……… 」

あえて何が、とは聞かなかった。

聞けなかった。

何日、そう聞いたAのお父さんは

どんな気持ちで聞いたのだろうか。

「あと、6日。6日目の朝、Aは…… 」

「 …そうか」