―心から君を愛したい 2nd―【神童拓人】 (ページ22)

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Story57 ページ22

この仕事が終わるまで残りあと一週間を切った。

その割に、たいして普段と変わらず

のんびりとした空間をAと過ごしていた。

ふと窓の外を見ると、中庭のあたりに倉間がみえた。

あの後 2,3日、倉間は抜け殻のようだったが

吹っ切れたのか元気そうだった。

元気そうに見えるだけかも知れない。

それでもAは元気にみえる倉間に安心してるようだった。

そんなAは読んでいた本を閉じると

ベッドに体を深く預けた。

「大丈夫か？」

「うん。ちょっと疲れた」

目をうっすらと開け、微笑む彼女。

呼吸は一定のリズムを保っているが、少しずつ弱っているのも確かだった。

少しでも楽に、最期を迎えたい。

昨日の夜、Aは笑いながらそう言った。

もう少しでこの笑顔が見られなくなると思うと

少し悲しい。

「あ、」

「どしたの？」

「会議…、あるの忘れてた」

時計をみると、会議まであと15分。

「間に合う？」

「んー、なんとか」

特に急ぐそぶりも見せない俺をAは笑った。