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「ねぇ...寒くないの？」
『ん〜？けっこうくっついてるから寒くないよ？』
言いながらもっとギュッとしてくる倫也さん
「あの、そういうことじゃなくてっ...いくら春先でも中に着てるの麻のシャツだけって。」
『だって都会に着てく服これしか持ってないもん。』
そう言って腕を緩めた倫也さんはわたしの両手を掴んで、『変？』ときょとんとした顔で聞いてきた
久しぶりにちゃんと見る倫也さんの顔
少し痩せたかな。
襟足が伸びたんだなぁ。
あ。ほっぺにニキビが１個。
全てが愛しくてジッと見つめると
『え？変てこと？』
と大きく目を開いた顔がおかしくて「あははっ！」と吹き出してしまった。
そのまま固まっている倫也さんに
「ううん、似合うよ大丈夫！...けど、手がすっごく冷たい。...たくさん待った？」
そう言うと、
『んー。ケータイ持って連絡するかどうしようかって手に持ったままずっと考えてたから。』
優しく微笑んだ口元に胸がまたギュッとなった
「そこであったかいの買お。」
繋がれている手を繋ぎ直して倫也さんの手を引いた
すぐ近くの自動販売機でココアを2つ買って
また公園に戻った私たちは桜の横のベンチに座った
隣を向けば本当に倫也さんが居て
目が合えば優しく微笑んでくれて
いつもと同じように口数は少なくてもすごく居心地が良くて
目の前には夢みたいに綺麗に咲く桜とちらほらと輝く星達
なんだか...
「恋花火みたい...」
そう思った
去年も今年も同じ場所で見上げた夜空
澄み渡った紺色の空に降るように光る桜色の光
悲しい気持ち
寂しい気持ち
いろんなものを抱えて見上げた夜空
だけどそこに映し出される光景は
いつだって
綺麗だった...
『これが本物なんじゃない？』
横から聞こえた声に目線を向ける
振り返った倫也さんはニッと笑って
『だって天然物だよ？』
とどこかで聞いたような言葉を口にしてから
『これで恋花火２回一緒に見たし、結ばれちゃうね。』
そう言ってココアを口に運んだ。
ん？
「倫也さん、わたしたち恋花火見れてないです...けど。」
あなたが来なかったからわたし一人で見ましたけど？！
喉まで出かけた言葉を飲み込んでそう言うと、
『去年。俺が花火を一緒に見たのはAちゃんだよ。』
その言葉が響いた瞬間
桜が風に舞ってヒラヒラと目の前を通過していった...
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RJS(プロフ) - 葵さん☆なんて嬉しいお言葉...涙が出そうなくらい嬉しいです。景色が目に浮かぶ様な物語が描きたかったので思いが伝わった気持ちになりました...。幸せです！言葉でお伝え下さって本当にありがとうございます。幸せに眠りまーす♡ (9月16日 2時) (
レス) id: acf635abfc (このIDを非表示/違反報告)
葵 - まるで一本の映画を見ているような気持ちになり、一気に読み切ってしまいました。本当に素敵な作品ありがとうございます！空と海の碧さと夏の暑さが入り混じって、優しくて、もどかしくて。素敵な世界をありがとうございます♡˒˒ (9月15日 20時) (レス) @page24 id: e59d00ee3d (このIDを非表示/違反報告)
RJS(プロフ) - ゆずはさん» ゆずはさん☆コメントありがとうございます。読み返してもらえるなんて幸せな作品です！本文にも書きましたが、まだ頭の中にあるものがあります。それをうまくかたちにできるよう頑張りますので是非お付き合い頂ければ嬉しいです。最後までありがとうございました！ (2022年2月13日 9時) (レス) @page24 id: acf635abfc (このIDを非表示/違反報告)
ゆずは(プロフ) - ついに終わってしまった、、。とても幸せな気持ちになれる作品でした。RJSさんが作り出す倫也さんが大好きで何度も読み返してました笑笑また新しい作品で出会えたらぜひ見に来たいと思います！！ (2022年2月12日 23時) (レス) id: d5f1772468 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RJS | 作成日時：2022年1月18日 9時
