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『一人で夜に出歩いたらダメだって言ったよね？』
頭の上から降ってきた優しい声は
空耳にしてははっきりとしていて
わたしの耳から身体中を巡って心臓に行き届いた瞬間
息が止まる程の恋しさに変わって
焦るように振り返った
『こんばんは。』
わたしの目に映ったのは、
あの日と同じ眼鏡とバブーシュ、麻素材の白シャツ
そこに見慣れない茶色のフード付きダウンを着た
あなたが変わらない笑顔で優しく笑っていた...
「.....倫也さん...なんで...居るの...？」
『ん〜？ここの桜見に来たんだよ？Aちゃんが綺麗だって言ってたから。』
クスッと笑いながら桜を見上げる倫也さん
まだ不思議でしょうがないわたし
「倫也さん？本当に？」
『本当に綺麗だね。来て良かった。』
「いや...そうじゃなくって...
そこまで言いかけると、桜からゆっくりと視線を外した倫也さんはわたしをチラッと見て
『過去形なの？』
そう言って口をわざとへの字に曲げた
「...え？」
『大好きな人...でした。』
そう言った倫也さんは子犬のようにしょんぼりした顔をしていて
だからわたしは焦ってしまって
「だっ、だってそう言わなきゃ...倫也さんに迷惑かけたくないし...」
『なんでそんなこと言うの？』
「今更そんなこと言われても...って思うだろうな...って...思って...」
言っている側からなぜか申し訳なさがじわじわと広がる
目を逸らして下を向くと
『もう、だったなの？』
「へ？」
自分でも腑抜けた声が出たのがわかる
声と同時に顔を上げるとわたしの前に立った倫也さんは
いつもより少しだけ真面目な顔で言った
『俺はだったじゃないんだけど。』
風が吹いた
優しく暖かい
3月とは思えないほどの
穏やかで安心するような
夢のようで
だったらこのまま寝ちゃってたいなって思うくらいで
だからゆっくり目を閉じた...
『いつも俺の気持ち置きっぱなし』
小さく聞こえた声に目を開くと
引かれた腕に体を動かされて
頬にダウンのひんやりした感覚と
体には包まれた腕の優しさを感じて
『...会いたかった。』
頭の上から降ってきた言葉が
今まで頑張って鍵をかけていた箱を簡単に開いた...
「わたしのが絶対会いたかった...」
口にすれば触れる手はギュッとダウンを掴んでいた
クスッと笑った倫也さんは
コツンとわたしの頭に頬を寄せた...
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RJS(プロフ) - 葵さん☆なんて嬉しいお言葉...涙が出そうなくらい嬉しいです。景色が目に浮かぶ様な物語が描きたかったので思いが伝わった気持ちになりました...。幸せです！言葉でお伝え下さって本当にありがとうございます。幸せに眠りまーす♡ (9月16日 2時) (
レス) id: acf635abfc (このIDを非表示/違反報告)
葵 - まるで一本の映画を見ているような気持ちになり、一気に読み切ってしまいました。本当に素敵な作品ありがとうございます！空と海の碧さと夏の暑さが入り混じって、優しくて、もどかしくて。素敵な世界をありがとうございます♡˒˒ (9月15日 20時) (レス) @page24 id: e59d00ee3d (このIDを非表示/違反報告)
RJS(プロフ) - ゆずはさん» ゆずはさん☆コメントありがとうございます。読み返してもらえるなんて幸せな作品です！本文にも書きましたが、まだ頭の中にあるものがあります。それをうまくかたちにできるよう頑張りますので是非お付き合い頂ければ嬉しいです。最後までありがとうございました！ (2022年2月13日 9時) (レス) @page24 id: acf635abfc (このIDを非表示/違反報告)
ゆずは(プロフ) - ついに終わってしまった、、。とても幸せな気持ちになれる作品でした。RJSさんが作り出す倫也さんが大好きで何度も読み返してました笑笑また新しい作品で出会えたらぜひ見に来たいと思います！！ (2022年2月12日 23時) (レス) id: d5f1772468 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RJS | 作成日時：2022年1月18日 9時
